代表的な絶滅シダ植物の1属。現生のヨシ(蘆)に似た木という意で名づけられた。約3億年前の古生代後期の石炭紀・二畳紀に大発展をとげ,汎世界的に分布し,大部分は古生代末に絶滅し,一部は三畳紀まで生き残った。茎枝は巨大で明らかな節間にわかれ,その中心には大きな髄孔があり第2期肥大生長を行う。化石として最も普通に産するのは茎そのものではなく髄孔内の内型であり,表面の模様は髄孔内面の押型である。巨大なものは径30cm,高さ30mに達した。
茎,葉,繁殖器官など別々に発見されるのでそれぞれ別の名で呼ばれる。茎はカラミテスCalamites,葉輪はアヌラリアAnnularia,繁殖器官の胞子囊穂はカラモスタチスCalamostachysまたはパレオスタチスPalaeostachysがそれぞれの形態属名である。東アジアのカタイシア植物群では,二畳紀になると葉が円形に配列する葉輪アヌラリアから左右に分化し蝶形となり,頂葉が扇形の葉輪をなすロバトアヌラリアLobatannulariaへと進化した。最後には左右に分化した葉輪が癒合し,Lobatannularia heianensisやSchizoneura manchuriensisなどが出現した。巨大な30mにも達する石炭紀の木本蘆木は現生1mくらいの草本トクサ類の祖先系である。これは石炭紀において30mにも達するまで巨大に生長できた蘆木も現在では1m内外にしか生長できないことを示し,石炭紀の温暖湿潤な年中春のような気候から,現在の夏と冬の較差の大きいきびしい気候に移り変わったことを示している。植物を育てる環境の違いが,石炭紀の巨木と現生の草本との違いを示している。日本では岐阜県赤坂の二畳系からカラミテスが,岡山県成羽の三畳系から生残りのアヌラリオプシスAnnulariopsisが報告されている。
執筆者:浅間 一男
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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