日本大百科全書(ニッポニカ) 「欽州」の意味・わかりやすい解説
欽州
きんしゅう / チンチョウ
中国南部、広西(こうせい)チワン族自治区南部の地級市。トンキン湾(北部湾)に臨む欽州湾奥に位置する。2市轄区、2県を管轄する(2016年時点)。人口402万(2014)。南防線(南寧(なんねい)―防城港(ぼうじょうこう))、欽北線(欽州―北海(ほっかい))両鉄道の分岐点。古くから開けた港町で、南北朝時代に安京県、唐代に保京県、宋(そう)代には安遠県とよばれた。南宋時代に欽州の州治が霊山(れいざん)県からこの地に移って以後欽州と称した。市内では米の二期作、サツマイモ、サトウキビ、ラッカセイ、ジュートが栽培され、漁業、製塩業も盛んである。農機具、漁業用器材、漁船などの工場もある。陶器や牡蠣(かき)などが名産。また、フランス軍と戦った清(しん)代の軍人馮子材(ひょうしざい)(1818―1903)の墓や劉永福(りゅうえいふく)の旧居がある。
[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年8月21日]