翻訳|jute
麻袋などの粗布に広く利用される,強く紡績しやすい植物性の靱皮繊維,およびこの繊維をとる植物の総称。繊維はツナソCorchorus capsularis L.(コウマ(黄麻)ともいう。英名white jute)とシマツナソC.olitorius L.(タイワンツナソともいう)の2種のシナノキ科一年草から採取されるが,前者の方が品質がよくて収量も多いので広く利用される。
ツナソは,インドあるいは中国の熱帯地域が原産と考えられ,古くから栽培されていた。ヨーロッパに知られたのは18世紀末。インドで栽培が盛んになったのはイギリスで工業的にジュートが多用されるようになった19世紀後半からである。ツナソは茎がまっすぐに3~4mの高さに伸び,先端近くで枝分れする。葉は互生し,葉身の長さ5~20cm,幅2~8cm,先がとがり,基部に葉耳と呼ばれる1対の針状の付属物がつく。葉柄は1~2cm,1対の托葉がつく。花は5弁で黄色,径8mmほど。葉のつけねに2~3花咲く。蒴果(さくか)は球形で直径1~2cm,中に40~50個の褐色の種子がはいる。それに対し,シマツナソは,蒴果は円筒形で長さ5~10cm,種子は暗緑青色である。より乾燥した場所で栽培され,草丈が低く,茎がよく分枝するため,採取される繊維の質は劣る。
ジュートは,亜熱帯を中心に,熱帯から温帯にまで広く栽培されており,主産国はインドで,これにバングラデシュ,中国,タイが続くが,最近はブラジルでの栽培も多くなった。栽培は2~5月に,よく耕起した畑に種子をまく。まっすぐで良質な繊維を得るために,株間は10~15cmと密植し,枝分れを抑える。播種(はしゆ)後100~120日たって開花期になったら,茎を地ぎわから刈って収穫する。茎から皮をはぎ乾燥した粗麻と,生茎を1~2週間水に漬けてから皮部の繊維だけをはぎ採り,天日に干した精麻とがある。繊維は他の麻類ほどじょうぶではないが廉価なので,大部分は麻袋(いわゆる南京袋)として農産物などの包装用にされる。また,リノリウムの地布や,じゅうたんの芯などにも利用される。両種とも若芽や葉を野菜として食用にされ,また強壮作用があると信じられていて,中国では種子や葉を薬用にもする。
執筆者:星川 清親
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…また,広義にはタイマに類似した靱皮繊維を採る植物,およびその繊維の総称でもある。アサと呼ばれる植物には,タイマ(アサ科)のほかに植物学的には直接的な類縁がないチョマ(苧麻,カラムシ),ボウマ(莔麻,イチビ),コウマ(黄麻,ジュート,ツナソ),アマ(亜麻),ケナフ(洋麻)などがある。タイマと同様これらの茎の表皮のすぐ下の部分(靱皮)から繊維が採れる。…
…おもなものに亜麻(フラックス。織ったものをリネンと呼ぶ),苧麻(ちよま)(ラミー,カラムシともいう),大麻(ヘンプ),黄麻(ジュート,つなそともいう),マニラ麻,サイザル麻などがある。麻類はそれぞれ相違はあるが,多くは繊維細胞が集まって繊維束を形づくっており,繊維束の繊維素以外に表皮や,木質部,ゴム質,ペクチン質などを含有しているので,より細かく分繊して糸にし織物にするのが良く,ロープ,紐類などは繊維束をそのまま撚り合わせて使用する。…
…輸出加工区の拡大と新設をシェイク・ハシナ政権は打ち出しているが,そのためにも政情の安定が重要な要件となる。 輸出構造は,ジュートおよびジュート製品が突出していた独立時とは様変りし,1980年代から90年代を通じて急成長した縫製品の輸出が全輸出の53%を占める。それに続くのが,それぞれ全輸出の10%を占める冷凍食品と最近急成長したニット製品,それに息を吹き返してきたジュート製品である。…
※「ジュート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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