正統ユダヤ教(読み)せいとうユダヤきょう(その他表記)orthodox Judaism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「正統ユダヤ教」の意味・わかりやすい解説

正統ユダヤ教
せいとうユダヤきょう
orthodox Judaism

古典的な伝統と祭儀上の慣習をきわめて厳格に遵守し,時代に応じた教義上の修正,変更は一切容認しない現代ユダヤ教の一派エリヤベンソロモンなど正統派の指導者はハシディズムや改革派,非宗教的なシオニズムなどの運動の影響力が増大する情勢にかんがみ,神へ到達する唯一の道はモーセ五書に啓示された神の言葉のほかにはないと主張し,律法の研究とその遵守を第一義として正統主義の存在を明確にするにいたった。この見解はロシアにおけるユダヤ教研究の最大の中心となったリトアニアのボロジン学院 (イエシバ,1803創立) に決定的な方向づけを与えた。ドイツでは S.ヒルシュが改革派に対抗して新正統派を形成し,ベルリンに創設されたユダヤ教神学校は正統派のラビや学者を育成し西欧諸国に送り出した。またパレスチナのラビ,アブラハム・イサククックは正統主義と神秘主義の融合を企て,ユダヤ人の魂と聖地との間には神秘的一致があるとしてシオニズム運動に精神的方向づけを与えた。アメリカにおける正統派の代表者はタルムード学者の J.ソロベイチックであり,彼はモーセ五書の超越性を強調した。

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