エリヤ(読み)えりや(英語表記)Elijah

翻訳|Elijah

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリヤ」の意味・わかりやすい解説

エリヤ
Hériat, Philippe

[生]1898
[没]1971
フランスの小説家,劇作家ゴンクール兄弟の文学手法を継承し,19世紀から 20世紀初頭のブルジョア社会題材とする小説を書いた。代表作に『無実の人』L'Innocent(1931,ルノドー賞),『甘やかされた子供たち』Les Enfants gâtés(1939,ゴンクール賞),『ブーサルデル家』La Famille Boussardel(1947)など。劇作には,『無垢の女』L'Immaculée(1947),『昼顔』Belle de jour(1950)など。ほかに『わが回想記』Retour sur mes pas(1959)がある。アカデミー・ゴンクール会員(1949)。

エリヤ
Elijah; Eliyyah

前9世紀中頃のヘブライの預言者。旧約時代,腐敗の危機にさらされていたヤハウェ信仰をフェニキアの自然宗教バール信仰の侵害とたたかいつつ再確立した。エリヤとは「ヤハウェは (わが) 神なり」の意。その決然たる行動はモーセと並び称され,後世,危機の救い手,メシアの先ぶれといわれた。カルメル山上で 450人のバールの預言者と対決してヤハウェの一神教を勝たしめた (列王紀上 18・20~40) 。彼は旋風に乗って天に上げられ,旧約の預言によれば (マラキ書4・5) ,主の大いなる恐るべき日の先駆として再来するとされる。神のかすかな声をのみ聞くきびしい孤絶の人の事業は,エリシャを待って成就することとなる。エリヤの祝日は東西両教会とも7月 20日。なおエリヤの名はコーランの中にも記されている。

エリヤ
Elijah ben Solomon

[生]1720.4.23.
[没]1797.10.9. ウィルナ
リトアニアのユダヤ教学者。近代のユダヤ人社会最大の霊的・知的指導者の一人原典批判方法を樹立し,律法研究に数学,天文学,歴史学文法学の必要を説き,合理主義的,総合的学風で知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリヤ」の意味・わかりやすい解説

エリヤ
えりや
Elijah

紀元前9世紀の中ごろ、イスラエルに登場した戦闘的な預言者。『旧約聖書』の「列王記」上(17~19章、21章)、同下(1~2章)にその言行が記されている。当時の北イスラエル王国の王アハブ(在位前870ころ~前850ころ)は、フェニキアから迎えた妻イゼベルのためにイスラエル古来の宗教を圧迫し、フェニキアの神バールの宗教を導入した。エリヤはこれに抵抗し、イスラエルとフェニキアの国境に位置するカルメル山上でバールを奉じる預言者たちと対決、イスラエルではヤーウェが唯一の神であることを示した。

[木田献一]

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