歯軌条鉄道(読み)しきじょうてつどう(その他表記)rack railway

翻訳|rack railway

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歯軌条鉄道」の意味・わかりやすい解説

歯軌条鉄道
しきじょうてつどう
rack railway

歯軌条と車両の原動機に接続した歯車を噛み合せて運転される鉄道で,急勾配克服手段の一つ。歯軌条の形状によって,リッゲンバハ式,アプト式,ストルプ式,ロヒャー式などがある。一般にレール車輪との間に働く粘着力だけによる鉄道の勾配は 1000分の 80 (水平距離 1kmに対して高さ 80m) 程度が限度であるが,歯軌条鉄道では 1000分の 480 (スイスのピラトゥス鉄道,ロヒャー式) の例もある。 19世紀末までに建設された登山鉄道に多く採用されたが,最近は建設費も安く,建設期間の短い索道 (ロープウェー) に替っている。日本では 1893年信越線横川-軽井沢間 (碓氷峠) の 1000分の 66.7の勾配にアプト式が採用されたのが唯一の例であったが,1963年に撤去され,普通の鉄道に改築された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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