ロープウェー(読み)ろーぷうぇー(英語表記)ropeway

翻訳|ropeway

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロープウェー」の意味・わかりやすい解説

ロープウェー
ろーぷうぇー
ropeway

地上にレールを敷設せず、斜面に立て並べた鉄塔に鋼鉄製のロープを張り、屋根の上に滑車をつけたゴンドラや椅子(いす)状の搬器をロープにかけ、曳索(えいさく)というもう1本のロープで引っ張って急斜面を上下させる乗り物。架空索道、空中ケーブルともいう。用地買収が少なくてすむので、建設費はケーブルカーの半分程度である。法令上は、扉を有する搬器を使用して旅客または貨物を輸送する普通索道、椅子式搬器を使用して旅客を輸送する特殊索道(スキーリフトなど)の2種に分けられる(鉄道事業法施行規則47条)。

 最初のロープウェーは西ヨーロッパで開発された。日本には古くから藤づるで編んだ籠(かご)を用いるものがあったが、人力以外の動力を用いた近代的なロープウェーは、1890年(明治23)、栃木県の足尾銅山架設された貨物輸送用のものが最初とされている。人を乗せるものとしては、1912年(大正1)、大阪の新世界に、娯楽場ルナパークと通天閣を結ぶ4人乗りロープウェーが開業したが、これは遊戯施設的なものであった。本格的な旅客用は、1927年(昭和2)開業した三重県矢ノ川峠(やのことうげ)の1254メートルのロープウェーが最初である。また、2014年(平成26)の時点で現存する日本最古の旅客用ロープウェーは、1929年に開業した奈良県の吉野ロープウェーで、2012年に機械遺産に認定されている。

 ロープウェーの動力はケーブルカーと同様に山頂に設置する動力室のモーターで、ゴンドラには動力がない。モーターが巻上げ機を回し、曳索の両端のゴンドラを交互に上下させる形式を交走式という。交走式はゴンドラの大型化が可能で定員100人を超えるものもあり、時速も速いものでは40キロメートルに達する。構造が簡単で安全性も優れ急斜面に適応するが、ケーブルカーと同じく距離に限界があり、2~3キロメートルまでである。

 これに対し、間隔を置いた多数のゴンドラが一定方向に次々に走行するのが循環式である。曳索が大きい輪になって同じ方向に絶えず動いており、ゴンドラに曳索を握ったり放したりする装置をつけ、地上の駅員が操作する。したがって時速は10キロメートル程度までで、ゴンドラも8人乗りくらいが限度であるが、乗客の多いときにはゴンドラを増やして輸送量を増加させることができる。急斜面には適さないが長距離の架設が可能である。

[吉村光夫]

『斎藤達男著『日本近代の架空索道』(1985・コロナ社)』


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