化学辞典 第2版 「水性ガスシフト反応」の解説
水性ガスシフト反応
スイセイガスシフトハンノウ
water gas shift reaction
一酸化炭素と水蒸気から二酸化炭素と水素を得る反応.一酸化炭素変成反応(carbon monoxide shift reaction)ともいう.
CO + H2O CO2 + H2
通常,不均一系反応で,高温(320~450 ℃)では鉄-クロム系触媒が,低温(150~300 ℃)では銅-亜鉛系触媒が用いられる.水素および合成ガスの製造において重要な反応.水素や合成ガスは,以前は,
C + H2O → H2 + CO
で示される水性ガス反応という赤熱したコークスと水蒸気との反応で,1000 ℃ 以上の温度で製造されていたが,その後,原料転換によって,天然ガス,LPG(液化石油ガス),ナフサなどの水蒸気改質反応,
CnHm + nH2O → nCO + [n + (m/2)]H2
で製造されるようになった.ここで生成した一酸化炭素を水蒸気との水性ガスシフト反応により転化し,水素の収率を高めることができる.また,アンモニア合成や燃料電池用改質ガスの使用の際の水素中のCO除去,あるいはメタノール合成やフィッシャー-トロプシュ合成の原料ガス(合成ガス)の H2/CO比の調整法としても用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報