フィッシャー-トロプシュ合成(読み)フィッシャートロプシュゴウセイ

化学辞典 第2版 の解説

フィッシャー-トロプシュ合成
フィッシャートロプシュゴウセイ
Fischer-Tropsch synthesis

略称F-T合成.ドイツのF. FischerとH. Tropschが発明した一酸化炭素と水素との反応による炭化水素の合成法.コバルトルテニウム,鉄などを主体とする触媒を用い,180~300 ℃,常圧~30 MPa で合成ガスを反応させると,直鎖状パラフィンおよびオレフィン炭化水素を生成し,その主反応は次式のように表される.

  (2n + 1)H2nCO → CnH2n+2nH2O

  2nH2nCO → CnH2nnH2O

生成物はおもに液状炭化水素であるが,ガス状および固形パラフィンも副生する.石油合成法の一つとして,第二次世界大戦当時,ドイツや日本で工業的に実施され,現在では,硫黄窒素を含まないクリーン燃料として見直され,南アフリカ共和国のほか,シンガポールなどで工業装置が稼働している.今後,天然ガスを原料とする石油代替エネルギーの一つとして重要視されている.[別用語参照]GTL

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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