水沼窯跡(読み)みずぬまようせき

日本歴史地名大系 「水沼窯跡」の解説

水沼窯跡
みずぬまようせき

[現在地名]石巻市水沼 寺前

丘陵の南斜面につくられた平安時代末期の窯跡。昭和五六年(一九八一)の土取工事で発見され、同五八年の発掘調査の結果、八基の窯跡が検出され、壺・甕・擂鉢・羽釜・碗などの陶器が出土した。窯跡の大きさは全長一二メートル、幅二メートルほどで、構造は焚口の部分に分焔柱のある地下式窖窯であることがわかった。袈裟襷文壺は二個あり、ほぼ完全な形に復原されたが、各地で出土しているこれまでの袈裟襷文壺で最大の大きさであった。これまで、袈裟襷文壺は一二世紀頃、東海地方の渥美あつみ半島(現愛知県)でもっぱら生産され、中央の貴族を通じて各地の有力社寺や豪族に供給された高級陶器であるとみなされてきた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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