石巻市(読み)イシノマキシ

デジタル大辞泉 「石巻市」の意味・読み・例文・類語

いしのまき‐し【石巻市】

石巻

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日本歴史地名大系 「石巻市」の解説

石巻市
いしのまきし

面積:一三八・五七平方キロ

石巻湾に南面し、西は桃生ものう矢本やもと町、北は時計回りに同郡河南かなん町・河北かほく町に接し、東は同様に牡鹿おしか女川おながわ町・牡鹿町に接する。旧北上川が井内いないから真野まの川を合せて蛇行しながら市街地の東部を南流、石巻湾に注ぐ。牡鹿半島西岸の中央突出部に位置する市域の南端狐崎浜きつねざきはまから、北端にあたる旧北上川東岸の上品じようぼん山南麓水沼みずぬまに至るまでの間は、急峻な山地・リアス海岸であり、北上川下流西岸地帯はなだらかな丘陵・砂浜海岸となっている。牡鹿半島基部には万石まんごく浦を抱えている。なお牡鹿半島から断層で切離された田代たしろ島が市域に含まれる。古来の石巻の八街道を含む国道四五号・一〇八号・三九八号などが四通八達。JR石巻線・仙石線を擁する南三陸地方水陸交通の結節点で、桃生・牡鹿・登米とめ遠田とおだの諸郡および本吉もとよし郡南部を包含する地域の経済・文化の中心的地位を占める。

慶長五年(一六〇〇)の葛西大崎船止日記(伊達家文書)に「いしのまきの内 舟十五そう」とある。

〔原始・古代〕

遺跡は古石巻湾の入江であった真野川流域の周辺台地や万石浦沿岸の台地縁端と北上川流域の微高地に分布する。旧石器時代の遺跡は知られていない。縄文時代になって、市東部地域の真野川流域、万石浦沿岸に貝塚が形成される。この地方最古の早期貝殻文施文の尖底土器を出土し、早期から後期まで営まれ、続いて奈良・平安時代には製塩がなされた万石浦南岸東端の梨木畑なしきばた貝塚がある。縄文中期末か後期初頭を中心に早期末から晩期までの南境みなみざかい貝塚は、範囲が桃生郡河北町北境までまたがる環状貝塚で、銛・釣針・やす・刺突具などの多数の骨角製品、軽石製浮子の漁労具の発見がある。同時期の沼津ぬまづ貝塚の漁労具や多彩な鹿角製品とともに、仙台湾地域から広がった離頭銛の出現とその発展は、仙台湾の豊富な水産資源と相まっての漁労技術の極致といってよい。明治末年から昭和初めにかけての石巻在住の遠藤・毛利両氏による約二〇年間の沼津貝塚の調査によって採取された縄文後期から晩期の大量の遺物は遠藤・毛利コレクションとして著名である。この発掘品は東北大学文学部に移管されている。縄文中期の地点貝塚による環状貝塚の屋敷浜やしきはま貝塚、離島田代島には外洋性岩礁性の貝塚の仁斗田にとだ貝塚もある。縄文中期から後期初頭になって大型貝塚を伴う集落が形成される。しかし後期後半から晩期になって減少し、集落の再編がある。晩期末には永巌寺えいがんじ貝塚のように規模の小さい遺跡となる。

石巻市
いしのまきし

2005年4月1日:石巻市と桃生郡河北町・雄勝町・河南町桃生町・北上町、牡鹿郡牡鹿町が合併
【河南町】宮城県:桃生郡
【河北町】宮城県:桃生郡
【桃生町】宮城県:桃生郡
【北上町】宮城県:桃生郡
【雄勝町】宮城県:桃生郡
【牡鹿町】宮城県:牡鹿郡
【石巻市】宮城県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石巻市」の意味・わかりやすい解説

石巻〔市〕
いしのまき

宮城県東部,北上川下流域と牡鹿半島からなる市。1933年市制。2005年河北町,雄勝町,河南町,桃生町,北上町,牡鹿町の 6町と合体。南に仙台湾の支湾石巻湾,北に雄勝湾,追波湾を抱え,金華山網地島,八景島などの島嶼も含む。中心市街地の石巻は鎌倉時代に葛西氏が日和山(ひよりやま)を居城としてから,城下町として発達。伊達政宗の時代の北上川の河道改修以来,石巻は藩内随一の港町となった。米の積出港として繁栄したが,明治時代になってからは衰退し,代わりに漁港および工業都市として発展した。1967年旧北上川河口西方 3kmの釜入江に工業港が新設され,木材,製紙,食品,機械金属などの工場が操業している。また 1973年東方の長浜地区に新漁港が完成,背後には水産加工の工業団地ができ,臨海工業地域が形成されている。万石浦西岸をはじめ,沿岸部ではノリやカキ,ホタテガイの養殖が盛ん。ワカメ,アワビ,ウニの採取も行なわれる。旧北上川流域の低平な沖積地では米作を中心に野菜栽培,養豚,養鶏などが行なわれ,丘陵地では乳牛,肉牛などが飼育されている。南東部の牡鹿半島地域は三陸復興国立公園に,万石浦一帯は硯上山万石浦県立自然公園に指定されている。日和山公園はサクラ,ツツジの名所で,牡鹿半島や松島を望むことができる。牡鹿半島西岸の月ノ浦は,慶長18(1613)年伊達正宗の遣欧使節として支倉常長がローマへ向かって出帆したところ。交通の要所で,JR石巻線が通り,市街地で仙台市と結ぶ仙石線が分岐。国道45号線,108号線(石巻別街道),398号線などが通る。2011年,東北地方太平洋沖地震に伴う津波により大きな被害を受けた。面積 554.55km2。人口 14万151(2020)。

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