愛知県南部、渥美郡にあった旧町名(渥美町(ちょう))。現在は田原市(たはらし)の西部を占める一地区。渥美半島の岬端(こうたん)部、伊良湖(いらご)水道に臨み、伊良湖岬がある。1955年(昭和30)福江(ふくえ)町と泉、伊良湖岬の2村が合併し渥美町と改称。2005年(平成17)田原市に編入。国道42号、259号が走る。伊良湖港からは、知多半島の師崎(もろざき)や三重県鳥羽(とば)などへフェリーが通じる。以前は近隣の町とともに農業用水に困っていたが、豊川用水(とよがわようすい)によって先進農業地に変わった。電照ギクの温室群は全国一の規模をもつ。また、ノリやアサリなど浅海の増養殖漁業が盛ん。豊橋市東縁の八名(やな)、弓張(ゆみはり)山地の延長線上に秩父中・古生層の堅岩が突起した大山(328メートル)がある。三河湾国定公園や渥美半島県立自然公園の観光拠点で、恋路(こいじ)ヶ浜、日出の石門(ひいのせきもん)があるほか、豊川用水末端の初立(はったち)ダム付近に東大寺瓦(かわら)を焼いた窯(かま)跡、福江の潮音寺には俳人杜国(とこく)の墓碑がある。福江は田原とともに港町でもあった。渥美半島先端部には中部電力の渥美火力発電所が稼動している。
[伊藤郷平 2017年1月19日]
『『渥美町史資料1~3』(1965~1966・渥美町)』▽『『渥美町史』全6冊(1983~1991・渥美町)』
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