水海田楽・能舞(読み)みずうみでんがくのうまい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水海田楽・能舞」の意味・わかりやすい解説

水海田楽・能舞
みずうみでんがくのうまい

福井県の鵜甘(うかん)神社(今立(いまだて)郡池田町大字水海)に伝わる田楽および猿楽能(さるがくのう)。国の重要無形民俗文化財。2月15日(もと陰暦正月)に行われる。もともと修正会(しゅしょうえ)の延年の催しであった。演者宮司をはじめ舞人、笛・大小鼓の囃子方(はやしかた)、地謡(じうたい)の総勢28人の村人たち、そのうち3人が師匠で、2月4日から稽古(けいこ)をつける。重要な役にあたる者は、神主家に泊まって別火潔斎(けっさい)、雪水で身を清めて務める。芸能は拝殿を舞台とし、烏(からす)とび、祝詞(のっと)、あまじゃんごこ(田楽)、阿満(あま)、式三番(しきさんば)、高砂(たかさご)、田村(たむら)、呉服(くれは)、羅生門(らしょうもん)の9曲が演じられる。田楽はすでに退化したものだが、翁(おきな)面を用いる祝詞や阿満に古い延年の姿を残している。

[新井恒易]


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