宮司(読み)グウジ

デジタル大辞泉 「宮司」の意味・読み・例文・類語

ぐう‐じ【宮司】

神社に仕え、祭祀さいし造営庶務などをつかさどる者の長。
戦前神官神職職階の一。明治4年(1871)の神官職員規則では、神宮および官・国幣社だけに用いられた職名
[類語]神主神職神官禰宜社司

みや‐づかさ【宮司】

《「みやつかさ」とも》
中宮職ちゅうぐうしき東宮坊とうぐうぼうのこと。また、そこの職員。
神官。ぐうじ。

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精選版 日本国語大辞典 「宮司」の意味・読み・例文・類語

ぐう‐じ【宮司】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神職の一つ。神社の造営、収税のことなどをつかさどった者。後にはひろく祭祀祈祷に従事する者の称。大宮司、権大宮司、少宮司権宮司などの別がある。
    1. [初出の実例]「寺司宮司祝部等申云」(出典:気比社古文書‐天元五年(982)五月二八日・太政官符案)
  3. 伊勢皇大神宮で、祭主に次ぐ、大宮司、少宮司の称。〔内務省令五三号‐明治三二年(1899)一〇月一八日〕
  4. もと、官幣社、国幣社の最高の神官。内務大臣および地方長官の指揮監督をうけ、祭祀をつかさどり、庶務を管理し、奏任官待遇であった。今では、一般神社の主管者。
    1. [初出の実例]「御霊体の前頭を掩ひ奉つるものに奉仕すべき主典、宮司、は緑袍明衣」(出典:風俗画報‐二一九号(1900)人事門)
  5. 東宮職、中宮職皇太后宮職などの職員。
    1. [初出の実例]「院うせおはしましては、〈略〉宮司などだにもまいりつかまつることもかたくなりゆけば」(出典:大鏡(12C前)二)

みや‐づかさ【宮司】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「なかのみや(中宮)のつかさ」の略 ) 中宮職(ちゅうぐうしき)のこと。また、その大夫(だいぶ)以下の宮人。
    1. [初出の実例]「みやづかささぶらふ人人みな手をわかちてもとめ奉れども」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 春宮坊(みこのみやのつかさ)のこと。また、そこの宮人。
    1. [初出の実例]「宮人、男には白き袿・袴に、女には装束〈略〉春宮の御とも、殿上人・みやづかさまで給はりぬ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)
  4. 神官。ぐうじ。
    1. [初出の実例]「其の祭の日になりて、宮づかさより始め、万の人人こぞりあつまりて」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一〇)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮司」の意味・わかりやすい解説

宮司
ぐうじ

神職の一職名。大宮司、権(ごん)大宮司、少宮司、権宮司などの別がある。古くは伊勢(いせ)神宮をはじめ、熱田(あつた)神宮、香取(かとり)神宮、鹿島(かしま)神宮、宗像(むなかた)大社、香椎宮(かしいぐう)、宇佐(うさ)神宮、阿蘇(あそ)神社などの諸社に、譜代(ふだい)の職として大宮司があり、その社の長官として神に奉仕し、造営、収税などをつかさどった。また、少宮司、権宮司を置いた社もあった。明治維新後、1871年(明治4)に神官職員取扱規則が規定され、その後もたびたび改正、伊勢神宮には祭主に次いで大宮司、少宮司、官国幣社には宮司が置かれ、熱田、橿原(かしはら)、出雲(いずも)、明治、朝鮮の5官社には宮司のほかに権宮司が置かれた。しかし第二次世界大戦後は社格制度が廃止され、各神社に宮司が置かれ、一社の長として、祭祀(さいし)を管掌し、社務をつかさどり、神社の信仰と伝統の護持に努めることを本義としている。また名誉宮司の制もできた。

[森安 仁]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宮司」の解説

宮司
ぐうじ

神社の祭祀や経営事務を担当する神職の長。孝徳天皇のとき伊勢神宮にはじめて宮司がおかれ,祭主の下で神郡財政を担当した。伊勢神宮のほか熱田・鹿島・香取・気比(けひ)・宇佐・宗像(むなかた)・香椎(かしい)の諸社にも宮司があり,少・権(ごん)宮司がおかれたところもあった。明治期以降の官国幣社制では大社に大・少宮司,中社に宮司・権宮司がおかれた。1946年(昭和21)官国幣社制が廃止され,全国の神社の長官をすべて宮司というようになった。

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百科事典マイペディア 「宮司」の意味・わかりやすい解説

宮司【ぐうじ】

神職

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮司」の意味・わかりやすい解説

宮司
ぐうじ

官幣社,国幣社の最高の神職。一般神社の主管者。古くは神社の造営,収税などを司ったが,のちに祭祀を司るようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の宮司の言及

【神職】より

…神祇官には,伯(長官),大・少副(次官)をはじめ,大・少祐,大・少史および神部(かんべ),卜部(うらべ)がおり,そのほかにも御巫(みかんなぎ)などがいた。伊勢神宮では,古来,祭主(さいしゆ),大宮司,少宮司,禰宜(ねぎ)などの職称があった。諸社では,神主(かんぬし),祝部(はふりべ),宮司,禰宜などの語が一般に用いられた。…

【大宮司】より

神職の官名の一つ。伊勢神宮において,7世紀中ごろの孝徳天皇のときにそれまで〈神庤司〉と称されていた職名を〈大神宮司〉と改め,中臣香積連須気が初めてこれに補任されたという(《皇大神宮儀式帳》)。大神宮司は神宮の祭祀全般を掌握すると同時に財政一般をも処理し,神郡および全国に散在する神戸(かんべ)の神税検収,その地における司法・警察権まで管掌した。…

※「宮司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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