水蛭子神(読み)ひるこがみ

朝日日本歴史人物事典 「水蛭子神」の解説

水蛭子神

伊奘諾尊(イザナキノミコト),伊奘冉尊(イザナミノミコト)の最初の子で,蛭のように骨のない子。『古事記』『日本書紀』では,イザナキ,イザナミの2神が国を生もうとして柱をまわったとき,女神のイザナミが先に声をかけて,このような骨なしの子が生まれたので,すぐに葦船(天磐櫞樟船とも)に入れて流したと語られている。しかしヒルコの出生近親相姦によるものとすべきで,神話的な太古に最初の男(兄)と女(妹)が近親婚によって子供を生んだところ,肉の塊や奇怪な生き物の形で生まれたという神話は,東南アジアをはじめとして世界各地に分布している。流されたヒルコは,のちにエビスさまとして漁民信仰を集め,七福神のひとつに崇められた。

(西條勉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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