改訂新版 世界大百科事典 「水谷氏」の意味・わかりやすい解説
水谷氏 (みずたにうじ)
中世武家。藤原姓。《尊卑分脈》などによれば鎌倉期に水谷重輔-清有-季(秀)有がみえる。重輔は仁治~寛元年間(1240-47)幕府が天地災変祭を行う際の御使として,また将軍藤原頼経の扈従人として現れ,さらに鶴岡八幡宮放生会に際して将軍の役送を務めたりしている(《吾妻鏡》)。清有,季有は六波羅評定衆としてみえる(《尊卑分脈》)。彼らの本貫について,近江国犬上郡水谷郷などとの説がある。《太平記》にみえる水谷刑部少輔,水谷兵衛蔵人をはじめ,南北朝前期に幕府方として活躍する水谷氏が散見するが,系譜関係はつまびらかにできない。一方,《系図纂要》などに,北関東~陸奥南部を根拠にした平姓水谷氏もみえる。
執筆者:山口 隼正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報