改訂新版 世界大百科事典 「水路情報」の意味・わかりやすい解説
水路情報 (すいろじょうほう)
船舶が安全な航海を行うために必要な水路に関する情報。海図,水路書誌,水路通報および海象,気象情報などをいう。海図は航海をするのに必要な沿岸の地物や水路の状況などを示したもの,水路書誌は,海図では表しきれない水路に関する細かい情報や,航路標識に関する情報,天測航法用の天測暦,潮汐表などを書籍の様式にまとめたものである。これらの海図などに載せられている水路,沿岸,港湾などの状況は自然的,あるいは人為的に変化するが,その変化は直接または間接に航海保安に影響する。このため重要な変化事項を船舶に周知させ航海保安に万全を期するとともに,海図や水路書誌を訂正するためのものが水路通報(毎週配布)で,とくに緊急を要する事項については航行警報として毎日無線電信,ラジオおよび共同通信社のファックスで放送している。主な通報事項は,航路標識,水中障害物,漂流物などに関するもので,自国沿岸については原則としてその国の水路部または担当機関が受け持つ。航洋船を対象に世界の海を16の区域に分けて担当国を定め,無線による世界航行警報も実施されている。
→海図
執筆者:沓名 景義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報