改訂新版 世界大百科事典 「水酸化鉱物」の意味・わかりやすい解説
水酸化鉱物 (すいさんかこうぶつ)
hydroxide mineral
金属元素と水酸基-OHの結合した鉱物で,鉱物種としては比較的少数である。陽性成分である金属,例えばMg,Alとそれぞれ水酸基が2個および3個結合し,Mg(OH)2とAl(OH)3が生成する。前者はブルーサイト,後者はギブサイトである。それぞれ水分の多い環境において生成する鉱物であって,ブルーサイトは高マグネシウム含有岩石の蛇紋岩などの風化分解,低温の熱水変質などにより加水された結果生成した鉱物であり,ギブサイトは酸性岩の風化分解作用による加水の結果生じた鉱物であってボーキサイトの主成分鉱物である。また水酸化鉱物は加熱により容易に脱水を行い無水の酸化物に変化する。例えばブルーサイトはペリクレースMgOに,ギブサイトはコランダムAl2O3に変化する。水酸化鉱物としてはこのほかダイアスポア,ベーム石,針鉄鉱,褐鉄鉱,水マンガン鉱などがある。なお,類縁鉱物としては,水酸基とともにCO3を含有する種や,水分子を含有する種もある。例えば,ハイドロタルク石hydrotalcite Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oなどである。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報