水マンガン鉱(読み)すいまんがんこう(英語表記)manganite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水マンガン鉱」の意味・わかりやすい解説

水マンガン鉱
すいまんがんこう
manganite

マンガン鉱石鉱物の一つ。グラウト鉱groutite(α(アルファ)-MnOOH)およびファイトクネヒト鉱feitknechtite(β(ベータ)-MnOOH)とは同質異像関係にある。低温熱水鉱床中、黒鉱鉱床中、スモーカー周辺海底堆積(たいせき)物中に産し、また循環水中の堆積物として生成されるほか、緑マンガン鉱の酸化分解によって生ずることもある。分解して二酸化マンガン鉱物、とくに軟マンガン鉱になりやすい。自形は一方向に伸びた柱状で、伸びの方向に平行な条線がよく発達し、束状集合をつくるほか、微細結晶が団塊鍾乳石(しょうにゅうせき)様の集合体をなすこともある。日本では秋田県花岡鉱山閉山)で多産した。命名化学組成にちなむ。

加藤 昭 2017年5月19日]


水マンガン鉱(データノート)
すいまんがんこうでーたのーと

水マンガン鉱
 英名    manganite
 化学式   γ-MnOOH
 少量成分  Fe,Al
 結晶系   単斜(擬直方)
 硬度    4
 比重    4.31
 色     暗鋼灰~鉄黒
 光沢    亜金属
 条痕    赤褐
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水マンガン鉱」の意味・わかりやすい解説

水マンガン鉱
すいマンガンこう
manganite

斜方晶系柱状結晶の鉱物。 MnO(OH) 。硬度2~4,比重 4.3~4.7。亜金属光沢をもち,色は鉄黒色,条痕は赤褐色。不透明。マンガン鉱石として重要。日本では新第三紀層の層状マンガン鉱床中から産出する。

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