マンガンの鉱石鉱物の一つ。グラウト鉱groutite(α(アルファ)-MnOOH)およびファイトクネヒト鉱feitknechtite(β(ベータ)-MnOOH)とは同質異像関係にある。低温熱水鉱床中、黒鉱鉱床中、スモーカー周辺海底堆積(たいせき)物中に産し、また循環水中の堆積物として生成されるほか、緑マンガン鉱の酸化分解によって生ずることもある。分解して二酸化マンガンの鉱物、とくに軟マンガン鉱になりやすい。自形は一方向に伸びた柱状で、伸びの方向に平行な条線がよく発達し、束状集合をつくるほか、微細結晶が団塊、鍾乳石(しょうにゅうせき)様の集合体をなすこともある。日本では秋田県花岡鉱山(閉山)で多産した。命名は化学組成にちなむ。
[加藤 昭 2017年5月19日]
manganite
化学組成MnOOHの鉱物。単斜晶系,空間群P21/a, 格子定数a0.894nm, b0.528, c0.574, β90.0°, 単位格子中8分子含む。鋼灰・黒色,亜金属光沢。硬度4,劈開{010}に完全,条痕暗赤褐色,比重4.30。光学的二軸性正,2V小,屈折率α2.25, β2.25, γ2.53。自形は柱状・板状・粒状などのほか,繊維状・鍾乳状・塊状をなすこともある。比較的新しい地質時代の層状マンガン鉱床中に産する。小規模のものはしばしば黒鉱鉱床に伴われる。また地下水からの沈殿物,あるいは湖成堆積物や浅海堆積物中に生成されることもある。自形のなかには軟マンガン鉱の仮像をなすこともある。
執筆者:加藤 昭・広渡 文利
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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