日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーキサイト」の意味・わかりやすい解説
ボーキサイト
ぼーきさいと
bauxite
アルミニウムの主要鉱石の一つ。おもに水酸化アルミニウムの鉱物(ギブス石、ベーム石など)からなり、現在あるいは過去の、熱帯地方における激しい風化作用(いわゆるラテライト化laterization)の結果、アルミニウムに多少とも富む岩石、すなわち泥質堆積(たいせき)岩、閃(せん)長岩、玄武岩などから生成される。水酸化アルミニウムの鉱物は球顆(きゅうか)(スフェルライトspherulite、針状物質の放射状集合体)をつくりやすく、これに少量の不純物である赤鉄鉱や針鉄鉱が混入して、特徴的な球顆状構造をもつ岩石がつくられる。これがボーキサイトであり、一般に柔らかく、比重2.5以下、酸で分解しやすい。アルミニウムの精錬では、氷晶石と蛍石(ほたるいし)を加え、電気炉で熱して比較的低温で融解させ、電気分解を行う。日本ではほとんど産しないが、香川県屋島において、安山岩の溶岩台地の上にごく小規模な不純分に富む水酸化アルミニウム鉱物を主成分とする土壌様のものがみられた。英名は原産地フランスのボーBauxにちなむ。
[加藤 昭]