改訂新版 世界大百科事典 「永久寺」の意味・わかりやすい解説 永久寺 (えいきゅうじ) 奈良県天理市にあった真言宗の古刹。鳥羽天皇の御願寺で,受戒の師寛恵を開基とする。永久年中(1113-18)に創建されたのでその年号を寺号とするが,詳しくは内山金剛乗院永久寺と称した。南北朝時代,後醍醐天皇が笠置城の落城の後,この寺に忍んだことがある。中世以来真言修験道を奉じ,当山派大峰正大先達(せんだつ)衆の一員としてその職を継ぎ,諸国に配下の袈裟下(けさした)修験を領し,大峰山に入峰(にゆうぶ)した。江戸時代,徳川氏が寺領971石を寄進し,坊舎も52を数えたが,明治になって廃寺となった。執筆者:鈴木 昭英 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報