大峰山(読み)オオミネサン

デジタル大辞泉 「大峰山」の意味・読み・例文・類語

おおみね‐さん〔おほみね‐〕【大峰山】

奈良県南部、大峰山脈の主要部の諸峰。特に、山上ヶ岳通称修験道霊山

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精選版 日本国語大辞典 「大峰山」の意味・読み・例文・類語

おおみね‐さんおほみね‥【大峰山・大峯山】

  1. 奈良県南部、大峰山脈の主要部の諸峰。大峰山脈の北部を金峰山(きんぶせん)と呼ぶ場合の南部の呼称。狭義には山上ケ岳(一七一九メートル)の呼称。天武天皇のころ、役行者(えんのぎょうじゃ)の開山になるという。修験道の根本道場となる。女人(にょにん)禁制。大峰。金の御岳。

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改訂新版 世界大百科事典 「大峰山」の意味・わかりやすい解説

大峰山 (おおみねさん)

紀伊山地の中央を南北にのびる脊梁山脈が大峰山脈で,広義の大峰山は大峰山脈の峰々をさし,狭義にはその北部の主峰山上ヶ岳(1719m)をさす。大峰山脈は北の吉野山から南の玉置山まで,南北約50kmの山地で,近畿地方の最高峰八剣(はつけん)山(1915m,仏経ヶ岳,八経ヶ岳ともいう)をはじめ,北から大天井ヶ岳(1439m),山上ヶ岳,大普賢岳(1780m),弥山(みせん)(1895m),釈迦ヶ岳(1800m),大日岳(1521m)などの峰々が連なり,大和アルプスともいわれる。山地の地質は,北部は古生層,中部以南は中生層を貫いた大峰酸性岩類と呼ばれる石英粗面岩などが分布している。山頂にはお花畑があり,山頂からの眺望が雄大である。山上ヶ岳は古くから西日本の修験道の根本道場で,信仰の山となっており,今も女人禁制の霊山である。山の戸開き(5月8日)から戸閉め(9月27日)まで,大山参りとか大峰参りといわれる白衣姿の信者の登山でにぎわう。登山路は下市口から洞川を経るコースが一般的で,1970年に登山口の竜泉寺まで自動車道が通じて清浄大橋まで女性も入れるようになり,竜泉寺の境内も女性に開放されるようになった。
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吉野から熊野に連なる大峰連峰は,中世以来修験道の根本道場とされてきた。平安朝以来多数の修行者が吉野,熊野に入山し修行を続けてきたが,御嶽詣,熊野詣に在俗者の参詣が多くなると修行者たちはさらに奥山に入り修行するようになった。修行者たちの集団化がすすみ修験道が形成され,その修行形態も山岳抖擻(とそう)に重点がおかれたものとなるにつれて大峰連峰各所に散在する行場に宿が設けられるなど相互に関連づけられていった。こうして熊野,吉野を結ぶ行場が成立し,近世以降はほぼ大峰七十五靡(なびき)(宿)として固定した。行場はおもに岩場,洞窟,滝,池などによって構成され,蔵王権現,不動明王,金剛童子,神変大菩薩をはじめとする多数の諸仏諸神や高祖開祖がまつられている。75靡は熊野本宮(1番),那智山(2番),熊野新宮(3番)に始まり,玉置山(10番),深仙の宿(38番),孔雀ヶ岳(42番)の両部分け岩によって吉野側の金剛界と熊野側の胎蔵界に分けられ,八経ヶ岳(51番),弥山(54番),弥勒ヶ岳(61番),笙の岩屋(62番),小笹の宿(66番)を経て山上ヶ岳(67番)に至る。さらに愛染の宿(70番),金精明神(71番),吉野蔵王堂(73番)を経て柳の宿(75番)をもって終わる。このうち山上ヶ岳には大峰山寺(山上本堂)や役行者(えんのぎようじや)が蔵王権現を出現させたとする涌出岩のほか表行場,裏行場など多数の行場がある。小笹の宿は聖宝が竜樹菩薩から秘伝を伝授されたといわれる場所で,当山派入峰修行の最大の拠点となっている。一方,本山派では深仙灌頂を行う深仙の宿が最も重要なものとされている。
執筆者:

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日本歴史地名大系 「大峰山」の解説

大峰山
おおみねやま

利根郡西入にしいりのほぼ中央部、月夜野つきよの町・新治にいはる村・水上みなかみ町の境にあり、標高一二五四・八メートル。北西に吾妻耶あづまや(一三二二・七メートル)が続き、山頂南東の中腹、標高約一〇〇〇メートルの所に大峰沼がある。山は江戸時代、相俣あいまた村・新巻あらまき(現新治村)小川おがわ(現月夜野町)を山元とし、石倉いしくら村・月夜野町(現同上)布施ふせ村・湯宿ゆじゆく村・二枚原にまいばら村・羽場はば村・師田もろだ(現新治村)を合せた計一〇村の入会秣場で、吾妻耶山には山元三ヵ村の産土神(吾妻谷神社)が祀られていた(桃野村誌)


大峰山
おおみねやま

[現在地名]長野市大字長野 箱清水

善光寺の西北にある。標高八二八・二メートル。全山松樹が繁る。山頂に山城があり、大嶺大内蔵の要害とする。登り路西七通坂(七曲)の麓より屈曲して登り、一は箱清水はこしみずより谷を登る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大峰山」の意味・わかりやすい解説

大峰山
おおみねさん

広義には奈良県吉野の大峰山脈の諸峰の総称で、狭義にはその北部にある山上ヶ岳(さんじょうがたけ)(1719メートル)をさす。大峰の地名は山上ヶ岳にある大峰山寺に由来する。大峰山脈は東は吉野川、北山川、西は十津(とつ)川で限られた南北約50キロメートルの山地で、北は吉野山から南は玉置山(たまきやま)に及ぶ。最高峰は八剣山(はっけんざん)(1915メートル)。壮年期の峻峰(しゅんぽう)が連なり「近畿の屋根」とも称される。吉野熊野国立公園に属す。山上ヶ岳は7世紀後半に役行者(えんのぎょうじゃ)が開き、9世紀後半に聖宝が中興した修験道(しゅげんどう)の霊山として知られ、山頂には蔵王権現(ごんげん)を祀(まつ)る大峰山寺(本堂は国の重要文化財)があるほか、鐘掛岩、西の覗(のぞき)岩、東の覗岩、蟻の戸渡りなどの行場がある。山上ヶ岳から南へ弥山(みせん)、釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)を経て下北山村前鬼(ぜんき)へ至る道は難所が多く、奥駈道(おくがけみち)とよばれる。現在も女人禁制を守っている。天川(てんかわ)村洞川(どうがわ)から登るのが一般的なルート。

[菊地一郎]

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百科事典マイペディア 「大峰山」の意味・わかりやすい解説

大峰山【おおみねさん】

奈良県南部に南北に連なる大峰山脈の通称。狭義には山脈北部の山上ヶ岳をいう。最高峰は八経ヶ岳(1915m)。釈迦ヶ岳,大日岳,地蔵岳などがそびえ,古来修験(しゅげん)者登山が盛ん。京都聖護院の大峰入り行事は有名。1960年まで女人禁制。吉野熊野国立公園に属する。霊場と参詣道は2004年世界遺産に登録された。
→関連項目日本百名山山伏

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事典・日本の観光資源 「大峰山」の解説

大峰山

(群馬県利根郡みなかみ町)
ぐんま百名山」指定の観光名所。

大峰山

(奈良県吉野郡天川村)
日本三大修験道場」指定の観光名所。

大峰山

(奈良県)
日本百名山」指定の観光名所。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大峰山」の意味・わかりやすい解説

大峰山
おおみねさん

山上ヶ岳」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の大峰山の言及

【釈迦ヶ岳】より

…奈良県南部,吉野郡下北山村と十津川(とつかわ)村の境界にある山。大峰山の一峰で,標高1800m。大峰山は修験道の修行の場として知られ,山上ヶ岳から弥山(みせん),八剣山(仏経ヶ岳),釈迦ヶ岳を経て前鬼(ぜんき)まで縦走する修行は,大峰奥駆けとよばれる難行である。…

【山開き】より

…江戸では,大山(おおやま)に初山と称して6月に登る慣行があったし,富士山の山開きの旧6月1日には,町の富士塚に参詣・登拝する習俗があった。また,修験の山である月山や大峰山では,山開きに堂を開く戸開(とあけ)式が行われ,ともに旧4月8日であった。この日は〈卯月八日〉で,大峰では冬ごもりして験力を身につけた晦日(みそか)山伏が山を下る日であり,一般には村人が山に登って依代(よりしろ)としての花を採り,山の神を田の神として村に迎える日である。…

※「大峰山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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