江東地区(読み)こうとうちく

改訂新版 世界大百科事典 「江東地区」の意味・わかりやすい解説

江東地区 (こうとうちく)

東京都東部の地域名。かつては隅田川の東側の都市化した地域を漠然と江東地区と呼んでいたが,1947年の23区制の施行とともに,深川,城東両区が合併して江東区ができたため,今では江東区と同義名として使う人も少なくない。いずれにせよ,隅田川河口部の東側の低湿地帯を指す。ここは江戸時代より都市化が進んでおり,両国から木場へかけては水路や池の多い町屋が広く見られた。また大きな大名下屋敷が各地につくられた。明治以後,一帯は工業地区として発展したため,生活環境が悪化した。第2次大戦ころより地下水汲上げによる地盤沈下が広がり,いわゆる0メートル地帯が広い範囲にわたって形成された。そのため高さ数mの防潮堤が海岸部に張りめぐらされている。最近,地盤沈下はほぼ止まり,工場の多くも移転しつつあるため,高層住宅が多く建設されている。東京湾へ向かって埋立地が多いのも,この地区の特徴の一つである。
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世界大百科事典(旧版)内の江東地区の言及

【東京[都]】より

…しかしこの計画は星亨暗殺事件で廃案となった。資本主義の発展は,隅田川以東の江東地区一帯を中心に,印刷,製本や機械,金属加工,雑貨品生産などの民間工業を生み出すと同時に,産業革命のなかで大規模な機械制紡績工場も登場し,とくに日清戦争以降,資本の集中が進んだ。日本資本主義が独占段階へ移行する20世紀初めに東京では,財閥の系列下に産業資本と金融資本が結合し,日本の政治,経済,社会の中心として,人口の集積と経済集中が進行した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」