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地盤沈下 じばんちんか land subsidence

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地盤沈下
じばんちんか
land subsidence

土地の表面が徐々に沈降する現象。地殻の変動に伴う構造的原因によるものと,地下水,構造ガスの大量汲上げにより地盤が圧縮されるものとに大別することができるが,後者が公害の一つとして扱われれている。

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デジタル大辞泉の解説

じばん‐ちんか〔ヂバン‐〕【地盤沈下】

地表面が沈下する現象。地殻運動や堆積物(たいせきぶつ)の収縮による自然沈下のほか、地下水の過剰揚水による地層の収縮から起こるものがある。
(比喩的に)上向きであった勢いが衰えること。また、保持していた勢力が低下すること。「繊維業界の地盤沈下が目立つ」「国際社会での地盤沈下が懸念される」

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百科事典マイペディアの解説

地盤沈下【じばんちんか】

土地の表面の沈下現象。地盤運動による自然沈下と人為的原因によるものがある。社会的問題となるのは多くは後者である。これには沖積層のような軟弱地層が構造物の重みで圧密収縮する場合と,粘土層にはさまれた地下水が過剰揚水されて地層が収縮する場合とがあり,工業用水のくみ上げの多い東京の江東地区,尼崎,名古屋四日市,阪神などの工業地帯で著しく,ゼロメートル地帯や海面以下の地帯を現出している。
→関連項目環境破壊公害鉱害公害対策基本法工業用水産業公害軟弱地盤和達清夫

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世界大百科事典 第2版の解説

じばんちんか【地盤沈下 land subsidence】

地下水や天然ガスを含む塩水を地下から過剰に揚水することによって起こる地盤の人為的下降運動をいう。石炭,金属鉱床の採掘による地表の陥没運動も地盤沈下と呼ぶ場合があるが,多くの場合,前者の意味で使用される。
[地盤沈下のメカニズム
 地下のある地層から地下水が過剰に揚水され,同時にかなりの量の地下水が同じ地層に補給されない結果,地層が収縮して起こる現象が地盤沈下である。(1)帯水層となる砂礫層などを挟んで粘土層が存在する場合,帯水層から地下水の揚水が行われると地下水圧(地下水位)は低下し,上下の粘土層へも水圧低下が波及し,帯水層に向かって地下水が絞り出され粘土層が収縮する。

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大辞林 第三版の解説

じばんちんか【地盤沈下】

地下水や天然ガスの採取、もしくは自然的な原因などにより、地表面が沈下する現象。
今まで保持していた勢力が衰えること。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地盤沈下
じばんちんか
ground subsidenceland subsidence

自然的、人為的作用による地殻表層部の物質の出入りに起因する沈降現象をさし、造盆地運動や地震による変位、つまり地殻変動とは区別される。地盤の沈降量や沈降パターンのうえでも両者の間には明瞭(めいりょう)な相違がある。たとえば、造盆地運動による沈降量が年当り0.5~1ミリメートルか多くても3ミリメートル程度にとどまるのに対して、地盤沈下はその数十倍ないし数百倍にも達する。また、変動がつねに負で非可逆的であり、回復することはほとんどないこと、沈下地域はあまり広くなく、最大の広がりは数百平方キロメートルであること、継続的な沈下は地下数十メートルか深くても数百メートルの地層の収縮または変形によって生ずること、などがあげられる。最初に述べた物質の出入りとは、液体(地下水、石油、天然ガスなど)や、固体物質の取り出しのほかに、有機質土の脱水収縮、および、それらに含まれる微生物の酸化分解による体積減少などをさす。[新藤静夫]

原因と機構

地盤沈下の原因および機構のなかでもっとも代表的なものは、流体の取り出しに起因するいわゆる圧密による沈下である。圧密とは、粘土層がそれに接する帯水層の地下水位の低下によって生じた有効応力の増大により圧縮される現象であるが、一般に粘土層の透水性はきわめて小さいため、間隙(かんげき)水が排出するのに長時間を要し、圧縮は徐々にしか進まない。圧密現象はこのように時間の遅れを伴いつつ進行するのが特徴である。このようなタイプの地盤沈下は沖積層や洪積層のように軟弱な未固結の地層が厚く堆積(たいせき)している海岸平野で、かつ昔から地下水利用が盛んに行われてきたような所で多くみられる。日本では東京をはじめ仙台、新潟、横浜、大阪などの都市のほか、濃尾(のうび)平野、佐賀平野が代表的な地盤沈下地域といえる。
 石油や天然ガスの採取に伴う地盤沈下も機構上は同じであるが、圧密層は一般に深い。新潟県、東京都の江東(こうとう)地区、千葉県などの天然ガス田がその例としてあげられる。石油採取によるものとしては、外国ではベネズエラの油田地帯やアメリカのテキサス州やカリフォルニア州などの各油田地帯があげられるが、とりわけカリフォルニア州のロング・ビーチが有名である。
 炭鉱の開発の際の坑内水の排除によって地下水位が下がり、炭鉱付近の未固結層が圧密する例もあり、日本では常磐(じょうばん)炭田(福島県、茨城県)、筑豊(ちくほう)炭田(福岡県)でその例がみられる。鉱山開発による沈下のなかにはこのような圧密によるもの以外に、坑道などの陥没によって地表面が沈下する例もある。これは石灰岩地帯の地下の空洞の陥没による沈下と機構は同じで、このようなタイプの沈下をシンクホールsinkholeとよんでいる。日本では先の炭田地帯、外国ではアメリカのアラバマ州やアリゾナ州、南アフリカ共和国のダイヤモンド採掘地などでこの種類の沈下の報告がある。これらの沈下のほかに、ハイドロコンパクションhydrocompactionとよばれる現象も広義の地盤沈下といえるが、機構上はきわめて特殊である。これは高間隙の風成のレスloess(黄土)などが含水することにより圧縮するものである。アメリカのカリフォルニア州のサンタ・クララ谷には、同様の性質を示す一種の泥流堆積物が分布する所があり、灌漑(かんがい)水の導水によって、農地が沈降したり、水路が破壊されたりして多くの被害が生じているという。[新藤静夫]

日本の地盤沈下

日本における地盤沈下の中心は東京や大阪などの都市域で、その歴史も古く、おそらく機械力による地下水の開発が盛んになりかけてきた明治末期から大正初期にまでさかのぼる。
 東京下町の江東地区などの地盤が激しく沈下していることが量的に明らかにされたのは、1923年(大正12)の関東地震の地盤の変位を調べる目的で行われた水準測量の改測の結果によるといわれ、1930、31年(昭和5、6)にはすでに年間15~17センチメートルも沈下していることが指摘された。1933年ころ大阪市でも同様の現象が指摘されている。このとき以来、地盤沈下の原因については種々の説が打ち出され、(1)地殻変動、(2)乾燥収縮、(3)地下水位低下による圧密加速、(4)構造物による荷重圧縮、(5)地震の振動による緊迫、(6)土層自体の自然圧密などの諸説が論議された。「地盤沈下」ということばが紙上に現れたのもこのころである。
 地下水の揚水による水位低下が地盤沈下の主原因であることを、沈下計による観測記録とその理論的考察のうえから初めて明らかにしたのは、1939~40年にかけての広野卓蔵(ひろのたくぞう)、和達清夫(わだちきよお)などの研究であった。彼らは西大阪での研究から、次式に示したように地盤沈下速度-(dH/dt)は、標準地下水圧P0と現在地下水圧Pの差に比例することを明らかにし、いわゆる圧密加速説を発表した(kは比例定数)。

 これは当時としては実に画期的な見解であったが、それを踏まえた有効な地下水対策がとられるには至らなかった。
 地下水の揚水が地盤沈下の主原因であることが実証されたのは、それから10年以上を経た第二次世界大戦の終戦後のことである。すなわち、戦災により工業地帯が壊滅し、工業用水としての地下水の揚水が止まることにより、地下水位が回復に向かい、同時に地盤沈下が急減し、あるいは停止したのである。沈下の原因がこのように明確に実証されたにもかかわらず、戦後の復興期とそれに続く高度経済成長の時代に入ってふたたび地下水の利用が盛んになり、地盤沈下も激化の度を加えるに至った。
 地下水の揚水規制の気運が高まり、これが各地で強化されるようになった契機として、濃尾平野臨海部を襲った1959年(昭和34)の伊勢湾(いせわん)台風による浸水災害は大きな意味をもつといえる。すなわち、それまで沈下の度を加え、いわゆるゼロメートル地帯が広がっていた伊勢湾沿岸部に、台風による豪雨と異常高潮が襲い、実に死者・行方不明者あわせて5101人、被害総額852億円という未曽有(みぞう)の災害をもたらしたことが、同じような地盤沈下の状況にあった東京、大阪の当局の注意を喚起したといえる。東京における地下水位と地盤沈下の推移、地下水揚水規制と地下水位の回復、それに伴う地盤沈下現象の低減などにそのことがうかがえる。
 日本における天然ガスは、多くの場合、水溶性天然ガスと称し、地下にあって地下水に溶けた状態で賦存しているものが多い。そのため、天然ガスを採取するためには、この地下水(天然ガス鹹水(かんすい))を揚水し、地表でガスと水に分離する方法がとられる。すなわち、ガスを1採取するとすれば、地下水も1かそれ以上揚水しなければならない。新潟県や千葉県などの天然ガス地帯での激しい地盤沈下は、このような原因によるものである。なおこのような現象を軽減するため、ガスと地下水を地下で分離し、ガスだけを取り出すくふうもなされている。
 地下水利用の場合と同じように、原因について多様の説が出されてきたが、今日天然ガス鹹水の揚水によるとする説を否定する者はほとんどいないといってよい。東京都江東地区、千葉県船橋地区、越後(えちご)平野などでのこの種の地盤沈下は、廃止を含む厳しいガス採取規制によって急減し、また一部では終息に近づいている。[新藤静夫]
地盤沈下の防止
地盤沈下は環境基本法(平成5年法律第91号)において水質汚濁、大気汚染、土壌汚染、悪臭、騒音、振動とともに典型7公害として位置づけられている。また地盤沈下を防止するための法律として工業用水法(昭和31年法律第146号)および建築物用地下水の採取の規制に関する法律(昭和37年法律第100号)が制定されており、これにより地域を指定して地下水の採取が規制されている。さらに地方自治体においても地域の実情に即した形で独自の条例が施行されている。
 このような法整備に加えて、節水型工業技術の進歩や再生水の利用による地下水揚水量の軽減が進み、東京、大阪、名古屋、新潟などのかつての地盤沈下激甚地域は著しく縮小し、または終息をみている。
 一方このような状況とは別に干魃(かんばつ)年における農業用水としての地下水利用の増大や、積雪地域の消雪のための地下水利用の増大による地盤沈下の進行もみられる。前者の例として北関東地域、後者の例として新潟県南魚沼(みなみうおぬま)市などがあげられる。これらの地域では地下水位低下がある一定量を超えた場合、警告を発して揚水を制御するといった措置をとり、地盤沈下の未然防止につとめている。
 「天災は忘れたころにやってくる」ということばの通り、いま終息しているようにみえている地盤沈下が再発しないという保証はない。将来的には大規模地下開発の進行や都市温泉ブームによって新たな形の地盤沈下が発生する可能性も否定できないからである。[新藤静夫]
『環境庁水質保全局編『地下水と地盤沈下対策』(1978・白亜書房) ▽東海三県地盤沈下調査会編『濃尾平野の地盤沈下と地下水』(1985・名古屋大学出版会) ▽旺文社編・刊『図説・私たちと環境4/土の汚染と地盤沈下』(1987) ▽地盤沈下防止対策研究会編、環境庁水質保全局企画課監修『地盤沈下とその対策』(1990・白亜書房) ▽柴崎達雄著『地盤沈下』(三省堂新書)』

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