池部啓太(読み)いけべ・けいた

朝日日本歴史人物事典 「池部啓太」の解説

池部啓太

没年:明治1.8.13(1868.9.28)
生年:寛政9(1797)
幕末の洋式兵学者,砲術家肥後(熊本)藩士。諱は春常。如泉と号した。啓太は通称。長崎に赴き末次忠助について蘭学を学び,さらに高島秋帆の父四郎茂紀の門に入って荻野流,天山流砲術を修得し,天保10(1839)年国に帰って肥後藩の兵制改革に尽力した。なお弾道学について造詣が深く,わが国最初の空気抗力測定による射擲表を著している。天保13年高島秋帆の疑獄事件に連座して投獄されたが,獄中において塗椀の漆を粉にして墨汁を,捕らえた鼠の髭を抜いて筆を作り,これを使って三角関数表の『割円四線表』とニュートン物理学の理論による『万動理原』を執筆した。

(所荘吉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「池部啓太」の解説

池部啓太 いけべ-けいた

1798-1868 江戸時代後期の砲術家。
寛政10年1月15日生まれ。肥後熊本藩士。九州にきた伊能忠敬(ただたか)に測量術を,長崎の末次忠助(ちゅうすけ)に天文学を,高島秋帆(しゅうはん)に西洋砲術をまなぶ。熊本藩暦算師範で砲術師範をかねた。天保(てんぽう)13年秋帆の下獄に連座し5年間幽閉された。慶応4年8月13日死去。71歳。名は春常。号は如泉。著作に「砲玉行道図説」など。

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