沈埋トンネル(読み)ちんまいトンネル(その他表記)immersed-tube tunnel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沈埋トンネル」の意味・わかりやすい解説

沈埋トンネル
ちんまいトンネル
immersed-tube tunnel

鉄筋コンクリートまたは鋼鉄の太いパイプ水中に沈めて水底トンネルとしたもの。まず水底に溝を掘り,底を調整して基礎を造っておき,次に水底トンネル用のパイプをドックまたは陸上で 100m程度の長さに造り,所定の位置に沈めたのち,継ぎ合せ,周囲に水中コンクリートを施して土砂をかぶせる。この工法を採用するには,地質が溝の形成に耐えること,水の流速が小さいこと,作業の妨げになる航行が少いことなどが必要である。アメリカで多く採用されている工法で,1910年に完成した地下鉄用のデトロイト河底トンネルが最初のもの。日本では,65年頃から本格的なものが造られるようになり,東京港トンネルなどがその代表的なものである。

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世界大百科事典(旧版)内の沈埋トンネルの言及

【水底トンネル】より

…沈埋工法はドックなどの他の場所で作られ適当な長さに分割されたトンネル本体を船で沈埋地点まで曳航し,あらかじめ浚渫(しゆんせつ)しておいた溝の中に沈設した後,浮上りを防止するためコンクリートなどで上部を押さえ,隣の本体と接続して順次完成させる工法である。沈埋工法によるトンネルを沈埋トンネルと呼ぶこともある。
[橋梁(きようりよう)との比較]
 水面で隔てられた2地点を橋梁で連絡する場合,その構造形式は水路などの幅や水深,地質,大型船舶の通行の有無などに支配される。…

【沈埋工法】より

…トンネルを形成する外殻をあらかじめ陸上または船台上で適宜の長さに分割して製作し(両端を仮壁でふさいだ函状をしており,沈埋函と呼ばれる),一方,設置する水底は溝状に浚渫して基礎をつくっておく。沈埋函は沈設予定位置直上まで水上を運搬し,1個ずつ順次に沈め,函相互は水中で水密に接続していき,トンネル内の仮壁の撤去や内装,トンネル外の土砂による埋戻しを行って完成する(沈埋工法によるトンネルを沈埋トンネルという)。沈埋函には,鉄筋コンクリートで函形をつくる方式や,鋼殻方式といって,鋼で外殻を函形または円筒状につくり,水中に据え付けたのち,外殻内にコンクリートを打ち込む方法がある。…

※「沈埋トンネル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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