沓野(読み)くつの

日本歴史地名大系 「沓野」の解説

沓野
くつの

[現在地名]美祢市西厚保町本郷 沓野

厚狭あさ郡境付近にあり、中世には厚狭末益すえます村の正法しようぼう(現山陽町)の所領であった。

地名の由来を「注進案」は、花山法皇が当所で観音像を刻んだ折、錦の沓を残し置いたことによると記す。

貞応二年(一二二三)一一月一八日付の正法寺文書の「長門国松嶽寺院主大賢謹立当寺新券流記帳事」(「注進案」所収)に、「一所 沓野当寺北坂本」とみえ、この頃すでに正法寺領であった。嘉元四年(一三〇六)六月二三日付の文書(「注進案」所収)には後伏見上皇の院宣として「当寺免田内北坂本沓野開発田、同荒野等事(中略)且任花山法皇勅免貞応国裁之旨、且守先例、寺務管領永代不可有牢籠」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の沓野の言及

【志賀高原】より

…落葉広葉樹が多いことから紅葉の景観にもすぐれる。 志賀高原は昭和初期までは沓野(くつの)地区(山ノ内町)の入会地で,採草地や竹細工に用いるネマガリダケ,薪炭材などの採取地に利用されているにすぎなかった。高原を通る草津街道は南の大笹街道の脇往還の役割を果たし,奥信濃と北上州を結ぶ最短ルートとして利用され,発哺(ほつぽ)温泉熊ノ湯温泉などの湯治場もあったが,観光開発がはじめられたのは1927年に長野電鉄が湯田中まで開通し,29年に志賀高原丸池スキー場が開設されてからであった。…

※「沓野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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