日本大百科全書(ニッポニカ) 「油島」の意味・わかりやすい解説
油島
あぶらじま
岐阜県海津市(かいづし)南端の一地区。以前は金廻輪中(かなまわりわじゅう)南端部の油島新田であった。ここはもと、木曽(きそ)、長良(ながら)、揖斐(いび)の三大河川の合流点にあたり、水害多発地であったため、油島新田と下流の長島輪中北部の松之木との間、約2キロメートルの3河川合流部を締め切る分流工事が、1755年(宝暦5)と明治中期(1887~1912)の二度にわたって行われ、治水事業が完成した。この宝暦(ほうれき)の工事のあと薩摩(さつま)から取り寄せて植えられたマツの苗木は、いまでは堤防上にみごとな「千本松原」となり、国指定史跡「油島千本松締切堤」があり、一帯は県立自然公園に指定されている。千本松原の北部に、宝暦の治水工事犠牲者80名余の薩摩藩士を祀(まつ)る治水神社がある。
[上島正徳]