法人税減税問題(読み)ほうじんぜいげんぜいもんだい

知恵蔵 「法人税減税問題」の解説

法人税減税問題

国際競争が厳しくなる中で、日本の法人税の実効税率が、欧州諸国に比較してというよりも、アジア諸国に比較して高く、国際競争力の上で不利だとの見方から、法人税率の引き下げを要望する声が経済界から強い。2007年1月1日に日本経団連が発表した長期ビジョン「希望の国、日本」では、法人税の実効税率の大幅な引き下げと減税財源としての消費税の増税が主張されており、経済同友会による同年4月の「税制改革提言」においても法人実効税率の引き下げが提起された。同年11月の政府税制調査会答申では、法人課税の負担軽減は検討すべき課題だとしながらも、法人の社会保障負担をも考慮にいれるべきだとも指摘している。さらに、法人税の税率を引き下げるにしても、課税ベースの拡大を図ることを考えるべきだともしている。その上で、当面は、経済の活性化のためには、研究開発などに対する特別措置を残すことで対応すべきだと述べている。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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