朝日日本歴史人物事典 「津田三蔵」の解説
津田三蔵
生年:安政1.12.29(1855.2.15)
明治時代の巡査,大津事件の犯人。江戸下谷生まれ。生家は津藩(三重県)藤堂家に仕えた医者。明治3(1870)年に上京し,軍隊に入営。西南戦争(1877)に出陣。同15年除隊。三重県巡査となるが,同僚を殴打して免職になり,同18年滋賀県巡査奉職。同21年速水警察署に勤務したが,その後,守山警察署に転じた。同24年来日中のロシア皇太子ニコラス・アレクサンドロビッチ(のちのニコライ2世)ロシア皇太子の警護を命じられる。5月11日沿道の護衛に立ったが,ロシア皇太子が滋賀県庁を出て5町(約550m)ほど進んだとき,突然抜剣して頭部めがけて切りつけ,車夫に取り押さえられた。犯行の動機は,来日が侵略を意図したものと妄信したためという。裁判で無期徒刑を宣告され,北海道釧路集治監に収容されたが,肺炎を起こして死亡した。<参考文献>児島惟謙『大津事件日誌』,尾佐竹猛『大津事件』
(関井光男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報