トリニール(読み)とりにーる(英語表記)Trinil

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリニール」の意味・わかりやすい解説

トリニール
とりにーる
Trinil

インドネシア、ジャワ島中部、ソロ川中流域に位置する、ピテカントロプスホモ・エレクトゥス・エレクトゥス)の最初の出土地。1891年オランダのデュボアが、トリニール村を流れるソロ川の中州から頭骨を発見した。92年、頭骨出土地点から15メートル離れた地点で左大腿(だいたい)骨を発見し、94年にこれらの動物化石をピテカントロプス・エレクトゥスとして報告。1907~08年にドイツのセレンカが、中州を挟む両側地層を組織的に調査し、ステゴドンゾウなどを標式化石とするトリニール層(中部更新世)の動物相植物相を明らかにし、その後のジャワ島中部サンギランにおけるジャワ島更新世人類の研究の基礎を築いた。

[青柳洋治]

『鈴木尚著『化石サルから日本人まで』(岩波新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリニール」の意味・わかりやすい解説

トリニール
Trinil

インドネシア,東部ジャワを東西に流れるソロ川上流の集落。 1891年にオランダ人 E.デュボアピテカントロプス・エレクトゥス (直立猿人) をこの地で発見したことで有名。その後 1907~08年にはセレンカの調査隊がこの地の更新世の動物相,植物相を明らかにしている。

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