改訂新版 世界大百科事典 「浄瑠璃秘伝抄」の意味・わかりやすい解説
浄瑠璃秘伝抄 (じょうるりひでんしょう)
義太夫節の語り方に関する教本。1748年(寛延1)序の《浄瑠璃秘曲抄》を補足した1757年(宝暦7)の《増補浄瑠璃秘曲抄》の増補部分を主体に,〈序文・義太夫節根元太夫評書・竹本家太夫豊竹八重太夫評判〉を加えている。その主体となる部分は〈浄瑠璃音義伝・声の口伝・間柏子の口伝並ニ程といふ事・景事道行の伝・産字の事・浄るり中音之事・長は継短は切るといふ事・詞に品有事・四音の事・音曲身がまへの事・節の四季の事〉より成る。これらは宇治加賀掾ら先人の説の引用も多く,同時に後世の諸書へ引き継がれる。序文に〈天明2年〉(1782)とあり,江戸の書肆中山清七により刊行。《日本庶民文化史料集成第7巻》に収録。
執筆者:井野辺 潔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報