日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
イギリス・フランス植民地戦争
いぎりすふらんすしょくみんちせんそう
17世紀後半から19世紀初頭まで1世紀以上にわたって断続的に戦われたイギリスとフランスとの間の戦争。第二次百年戦争ともよばれる。両国はヨーロッパのみならずインドや北アメリカでも戦った。
17世紀中葉に市民革命を体験し、議会を通じて重商主義政策を推進する時代に入っていたイギリスと、それに対抗して自国の商工業の保護・振興を図るフランスは、ともに、藍(あい)、サトウキビ、タバコ、綿花などの商品作物の生産地として、また自国製品の輸出先として、植民地を必要としていた。この植民地をめぐる攻防が、両国の外交・戦争政策の動向を大きく規定することになった。
まず、ヨーロッパにおけるファルツ継承戦争(プファルツ戦争、1689~1697)が北アメリカでウィリアム王戦争(1689~1697)としてイギリス・フランス間で戦われたのを皮切りに、両国は、ヨーロッパで大戦争が起こるたびにつねに敵味方に分かれて戦い、また植民地でも争った。スペイン継承戦争(1701~1714)のときにアン女王戦争(1702~1713)、オーストリア継承戦争(1740~1748)のときにジョージ王戦争(1744~1748)、そして七年戦争(1756~1763)のときにフレンチ・アンド・インディアン戦争(1754~1763)が戦われた。
1763年に結ばれたパリ条約は、インド、北アメリカの植民地争奪戦におけるイギリスの勝利を確認したもので、アメリカ独立戦争、フランス革命戦争・ナポレオン戦争も、このイギリス優位の体制に対するフランスの挑戦という一面をもっている。
[青木 康]