改訂新版 世界大百科事典 「海運仲立業」の意味・わかりやすい解説
海運仲立業 (かいうんなかだちぎょう)
日本の海上運送法(1949公布)では,〈物品海上運送又は船舶の貸渡,売買若しくは運航の委託の媒介をする事業をいう〉(2条9項)と規定されている。一般商品市場や株式市場などの場合と同様に,海運市場にも仲立人(海運ブローカー)が存在し,海運取引に重要な役割を果たしている。海運企業が荷主と直接交渉して取引する方法もあるが(とくに専用船の長期契約において),両者の間に仲立人が介在して取り決められるのがより一般的かつ伝統的な方法である。現実の海運市場にみる仲立人は,不定期船やタンカー市場で航海用船契約や定期用船契約などの仲介をすることに,または定期船市場で個品運送契約を仲介することに,あるいは船舶売買市場で仲介することに,それぞれ専門化している。もとより,これら二つ以上の専門分野にまたがって活動している海運仲立人も存在する。
→海運取引所
執筆者:織田 政夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報