化学辞典 第2版 「温度ジャンプ法」の解説
温度ジャンプ法
オンドジャンプホウ
temperature jump method
化学緩和法の一種で,平衡にある化学反応系の温度を急激に上昇させ,新しい平衡状態に向かって反応が移行しようとする現象(緩和現象)を,光学的方法,伝導率変化などによって測定することにより,10-7~1 s の比較的速い溶液内反応を追跡するのに用いられている.温度ジャンプを起こすのに現在もっとも広く用いられているのは,高圧で充電したコンデンサーを,電解質を含む試料溶液を通じて放電し,溶液抵抗によって生じるジュール熱で急激に加熱する方法である.ジュール熱による方法は,セルに電極挿入と,電解質の添加を必要とするので,これらを必要としない方法として,マイクロ波パルスやレーザー光パルス(たとえば,Ndガラスレーザーによる1.06 μm のレーザー光)などによる加熱も研究されている.また,ストップドフロー法と温度ジャンプ法を組み合わせた装置も開発され,高速反応,とくに酵素反応の研究などに用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報