化学辞典 第2版 「高速反応」の解説
高速反応
コウソクハンノウ
fast reaction, rapid reaction
反応の半減期が秒以下の程度の化学反応.迅速反応ともいう.一般に遊離基,遊離原子が関与する反応,溶液中のイオン反応などの大部分は高速反応であり,気相の爆発反応もその例である.近年,高速反応に対する関心が高まり,各種の研究方法が考案され,測定が行われている.ラピッドフロー法によれば,半減期がほぼ 10-3 s までのものが研究される.R.G. Norrish(ノリッシュ)らが開発したせん光法では,半減期が 10-6 s 程度まで,さらにレーザー光をせん光光源に用いたものでは,10-9 s 程度までの反応系の変化を追跡することができる.せん光法に似たパルス放射線分解は,水和電子の関与する高速反応の研究などに使われている.一方,衝撃波管が気相における高速反応(解離,再結合など)の研究に利用されている.さらに,M. Eigen(アイゲン)らが開発した温度ジャンプ法,圧力ジャンプ法,電場パルス法,超音波法などのいわゆる化学緩和法により,1~10-10 s の広い範囲の溶液内高速反応を研究できる.そのほかに,ポーラログラフィー,核磁気共鳴法,電子常磁性共鳴法なども用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報