精選版 日本国語大辞典 「誤差」の意味・読み・例文・類語
ご‐さ【誤差】
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測定をしたり計算をしたりするとき、本当に知りたいのは真値(厳密値)であるが、実際にはそれに近い値(近似値)しか得られないことが多い。両者の差を誤差という。符号をつけて表すときは、近似値のほうが大きい場合(過大近似値の場合)をプラスにとるのが普通である。式で表せば次のようになる。
(近似値)-(真値)=(誤差)
[戸川隼人]
誤差の大きさを表すには、前記の値の絶対値(これを絶対誤差という)をそのまま用いてもよいが、真値に対する割合で表すほうが適当なこともある。これを相対誤差という。
|(近似値)-(真値)|=(絶対誤差)
また、一つの値だけを問題にするのではなく、いくつかの値の組を問題にする場合には、個々の値の誤差のほかに、総合的な誤差の尺度として、誤差の総和、誤差の二乗和、誤差の平均値、誤差の最大値などが用いられる。
[戸川隼人]
誤差には、規則性のあるものと、まったく不規則(ランダム)なものとがある。このうち、規則性のあるものに関しては、十分に調べれば補正できることが多い。ただし、原因は多種多様なので、対策はケース・バイ・ケースである。不規則な誤差に関しては、一見どうしようもないように思えるが、多くの場合、誤差がある種の確率分布に従う。この分布は正規分布またはガウス分布とよばれている。この種の誤差については確率論を用いて性質を研究することができ、たとえば「同じものをN回測定して平均すれば、平均値の誤差の期待値は元の誤差の1/になる」ということなどが知られている。
[戸川隼人]
誤差を含むデータに計算処理を行うと、計算結果にも誤差が入る。その影響に関しては次のようなことがいえる。加減算すると絶対誤差は元の誤差の和になる。相対誤差は、普通はあまり変わらないが、符号が反対で絶対値がほぼ等しい二つの数を加えるような場合には相対誤差が急増する。これを桁(けた)落ちという。乗除算結果の相対誤差は、元の値の相対誤差の和にほぼ等しい。ただし除数の相対誤差が大きい場合には、誤差が著しく拡大されることがある。方程式の係数や定数項に誤差が含まれていると、方程式の解に誤差が入る。その影響の大小は方程式の性質によって決まる。わずかの誤差が結果に大きな影響を与えるならば、悪条件ill-conditionであるという。
[戸川隼人]
数値計算における誤差には大別して丸めの誤差と打ち切り誤差がある。丸めの誤差は数値を有限桁数で扱うために生ずる。打ち切り誤差は、無限級数の和を有限項の和で近似したり、逐次近似法の反復を途中で打ち切ったり、微積分を離散的に近似したりする際に生ずる。
[戸川隼人]
『戸川隼人著『誤差解析の基礎』(1974・サイエンス社)』▽『ウィルキンソン著、一松信・四条忠雄訳『基本的演算における丸め誤差解析』(1974・培風館)』▽『永坂秀子著『計算機と数値解析』(1980・朝倉書店)』▽『吉沢康和著『新しい誤差論――実験データ解析法』(1989・共立出版)』▽『大石進一著『精度保証付き数値計算』(2000・コロナ社)』
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真の値からの測定値のずれを誤差という.真の値が不明なときは,測定値から真の値を推定しなくてはならないので,数学的取り扱いが必要になる.これを誤差解析という.最小二乗法はその一例である.このような数学の対象となる誤差は偶然誤差であって,環境や測定装置による偏りから生じる系統誤差は,誤差解析の対象にはなりにくい.
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…この穴のないものを無目打imperf,角の目打のとれたものを目打欠,目打が正しい位置からずれているものを目打ずれという。 エラーerrorまちがって作られた切手をいい,図案の誤り,文字の誤り,刷色の誤りなどがある。 すかしwatermark偽造を防ぐために切手の紙に文字や模様のすかしを入れたもので,日本では以前にはすかしを入れたこともあるが現在の切手にはない。…
…また1mm単位の目盛のものさしで長さを測ったときの測定値,コンピューターで用いるデータの離散化なども近似値の取扱いになる。真の値と近似値との差を誤差と呼ぶ。いろいろな量を測定する場合に,真の値が正確にはわからないときは誤差もわからないが,そのような場合でも誤差の限界はわかる場合が多い。…
…測定のために援用した法則自身の,あるいはそれを測定系によって実現する際の不完全さや,測定時における環境変動など外部からのじょう乱などのために,信号の質が低下したりゆがめられたりして測定値として“真の値”と異なる値が得られることが多い。測定値から真の値を差し引いた値を誤差というが,これは概念規定である。真の値がわかっていれば測定の必要はなく,わからなければ誤差が求まらない。…
…測定の目的は測定量の真の値を求めることであるが,得られる測定値にはいくらかの誤差が含まれることは避けられない。このように測定に際して測定値に入りこむ誤差を測定誤差と呼び,測定値から真の値を引いた値と定義する。…
※「誤差」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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