改訂新版 世界大百科事典 「湯川氏」の意味・わかりやすい解説
湯川氏 (ゆかわうじ)
紀伊の中世武家。清和源氏甲斐武田氏の族。1241年(仁治2)武田信忠が父信光に義絶され紀伊国熊野へ下ったのがはじまりという。在田,日高,牟婁郡にわたって勢力を持ち,南北朝のころには日高郡富安荘を本拠とした。永享~文安年間(1429-49)には室町幕府奉公衆として四番方を務めた。戦国時代には畠山尚順の領国支配に対し,国人を集結して守護勢力を排除し南紀支配をすすめた。本願寺門徒の多い紀ノ川下流域の雑賀勢とも結び,織田信長と本願寺が争った石山本願寺一揆では,初期には信長方へ参加したが,のち反信長勢力に転じた。1585年(天正13)豊臣秀吉の紀州攻略が行われ,その支配下に入ったが,その後一族の中では安芸の浅野家に仕官した者もあった。
執筆者:内藤 範子
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