溶液紡糸(読み)ヨウエキボウシ

化学辞典 第2版 「溶液紡糸」の解説

溶液紡糸
ヨウエキボウシ
solution spinning

高分子を適当な溶剤で溶かし,紡糸口金から押し出して繊維を形成する方法で,紡糸口金から吐出後の処理の違いで,湿式紡糸乾式紡糸に大別される.湿式紡糸では,高温度で安定に溶解した高分子溶液を,凝固液のなかで高分子を析出・結晶化させて繊維を製造する.乾式紡糸では,高温度で揮発しやすい溶媒に高分子を溶解させ,紡糸筒内で熱風によって溶媒を蒸発して繊維を製造する方法である.最近では,ケブラーなどの液晶紡糸,超高分子量ポリエチレンのゲル紡糸などにおける高強度・耐熱性高分子を繊維化する方法として,乾湿式紡糸(dry-wet spinning)がある.この方法は,紡糸口金直後は乾式で,その後,溶媒中で凝固させるため,紡糸口金と凝固液が直接接していないので,紡糸口金温度(吐出温度)と凝固液の温度をかえることができる利点がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android