潜伏感染(読み)せんぷくかんせん(その他表記)latent infection

改訂新版 世界大百科事典 「潜伏感染」の意味・わかりやすい解説

潜伏感染 (せんぷくかんせん)
latent infection

顕性感染,不顕性感染を問わず,生体病原微生物の感染が成立した後,長期間にわたって病原体と宿主生体との間に平衡関係が保たれている状態を潜伏感染という。宿主生体のなかで,病原体が潜伏感染を続けて,終生臨床症状をあらわすことなく過ごすこともあるが,宿主生体の抵抗力が低下した際,再発して臨床症状を認めることも少なくない。このような例として,単純ヘルペス感染症,水痘帯状疱疹サイトメガロウイルス感染症,梅毒,結核などがあげられる。幼児期の単純ヘルペスは初感染として歯肉口内炎やヘルペス湿疹となり,ウイルスは三叉(さんさ)神経節に潜伏感染して,再発すると口唇ヘルペス角膜炎脳炎となる。あるいは水痘帯状疱疹ウイルスの初感染像が水痘であり,ウイルスは脊髄後根神経節に潜伏感染を続け,再発して帯状疱疹となるなどは好例である。梅毒は感染した後,種々の時期に症状を発現するが,その間は潜伏梅毒として経過する。
感染
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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