改訂新版 世界大百科事典 「潮止め」の意味・わかりやすい解説
潮止め (しおどめ)
海面干拓において,干拓地を海から守るためにつくられる潮受け堤防工事の終りに,堤防と海との開放口を締め切り,海水を完全に遮断することをいう。潮受け堤防を築造するとき,その一部は初めから築堤を行わずに,潮止め口の基礎となる床固め工とその両側の堤防の保護工を施しておき,堤防の潮止め口以外の築堤が計画高の8分どおりできたところで潮止め口を短期日に締め切る。まれに潮止め口の位置に初めから排水門をつくって,そのゲートを開いておくこともある。潮止め口を開放しておくことにより工事中の潮流が堤防に与える水圧の影響を小さくしたり,築堤材料の運搬の便をはかるなどのねらいがあるが,潮汐流のために洗掘がはげしいので地盤を床固め工によって保護することが大切である。潮止め工法には,鉄フレーム積み,ブロック積み,角落し,土俵積みなどの工法があり,干拓の規模,土質,材料などによって適当なものが選択される。
執筆者:多田 敦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報