日本大百科全書(ニッポニカ) 「灰星病」の意味・わかりやすい解説
灰星病
はいぼしびょう
果樹類の病気で、モモ、アンズ、スモモ、オウトウ、ウメ、リンゴ、ナシ、ビワなどに発生し、おもに成熟まぎわの果実や貯蔵・輸送中の果実が腐る。病徴は果実の種類によって多少異なるが、一般に初め褐色で水浸状の病斑(びょうはん)ができ、しだいに拡大して果実全体が腐る。病斑の表面には、のちに灰白色の胞子の塊が重輪状に形成される。病原は子嚢(しのう)菌類のモニリニア属の菌で、モモ、アンズ、スモモ、オウトウ、ウメを侵すものはMonilinia fructicola、リンゴ、ナシ、ビワを侵すものはM. fructigenaであるが、両者が混在して発生することもある。また、前者は果実だけでなく花にも発生して花腐れをおこす。とくにオウトウで被害が大きい。病原菌は菌核をつくって越冬し、翌年菌核から子嚢盤を生じ、中に子嚢胞子を形成、これが飛散して第一次の発生源になる。
[梶原敏宏]