炎症性ミオパチー

内科学 第10版 「炎症性ミオパチー」の解説

炎症性ミオパチー(筋疾患)

定義・概念
 後天性に骨格筋に炎症をきたす疾患の総称で,種々の感染・中毒などの原因によって起こる骨格筋の炎症性疾患が含まれる.狭義にはそれらの原因の明らかな疾患群を除いた特発性炎症性疾患(idiopathic inflammatory myopathies:IIM)を示す.後者は,自己免疫疾患・膠原病・全身性炎症性疾患の性格を有する.
分類・原因
 筋に炎症を起こす原因としては表15-21-5のようなものがある.自己終息的な一過性のウイルス性筋炎(インフルエンザなど)を除いては,わが国では特発性の炎症性筋疾患である多発性筋炎/皮膚筋炎の頻度が高い.しかし,感染性,薬剤性の筋炎では原因を除くことで治癒に向かう可能性も高く,特発性炎症性筋疾患の鑑別としても重要である.特に薬剤,中毒性のミオパチーは,炎症機序以外にもさまざまな機序でミオパチーを起こし,血清CKが上昇する頻度が比較的高く特発性炎症性筋疾患との鑑別が重要である.診断鑑別には,病歴(発症前の薬物の使用や化学物質への暴露,感染徴候や微生物への接触の機会の聴取も含む),筋力徒手テスト,血液検査(筋原性酵素の上昇,自己抗体の上昇,続発性の場合は原因の同定検査),筋電図,MRI,筋生検が重要である【⇨10-6】.[村川洋子]
■文献
Dimachkie MM, Barohn RJ: Inclusion body myositis. Semin Neurol, 32: 237-245, 2012.
Nagaraju K, Lundberg IE: Inflammatory diseases of muscle and other myopathies. In: Kelley’s Textbook of Rheumatology. 8th ed, pp1353-1380, Saunders Elsevier, Philadelphia, 2009.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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