化学辞典 第2版 「炭化アルミニウム」の解説
炭化アルミニウム
タンカアルミニウム
aluminium carbide
アルミニウムの炭化物はAl4C3とAl2C6が知られている.【Ⅰ】三炭化四アルミニウム(tetraaluminium tricarbide):Al4C3(143.96).普通はこちらをさす.Al,またはAl2O3と,炭素粉末を H2 中で電気炉で強熱すると得られる.六方晶系,りょう面体結晶.純粋なら無色であるが,市販品はいくぶん分解して黄色を帯びる.AlC4四面体がつながった複雑な層状構造をしている.密度2.36 g cm-3.モース硬さ8.融点2100 ℃.2200 ℃ 以上で分解する.室温でも希酸に,加熱すると水にも溶けてAl(OH)3とCH4に加水分解する.アルカリ金属,アルカリ土類金属で還元されてAlになる.CH4発生用,金属酸化物の還元剤,触媒,エレクトロニクス基板用のAlNの製造原料などに用いられる.[CAS 1299-86-1]【Ⅱ】六炭化二アルミニウム(dialuminium hexacarbide):Al2C6(126.03).Al粉に,450~500 ℃ でアセチレンを反応させてつくる.水と反応してアセチレンを発生する.アルミニウムの炭化物は消防法第3類危険物・自然発火性物質及び禁水性物質指定.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報