知恵蔵 「為替の市場介入」の解説 為替の市場介入 正式名称は「外国為替平衡操作」。自国通貨の外国為替相場を安定させるため、中央銀行や財務省等の通貨当局が実施する外国為替の売買のこと。日本では外為法や日銀法等の規定に基づき、日本銀行が財務大臣の指示に従って介入実務を行っている。為替の市場介入には、政府短期証券で調達した円資金を売却してドルを買い入れる「ドル買い円売り」と、政府の保有するドル資金を市場で売却して円を買い入れる「ドル売り円買い」がある。いずれも政府の外国為替資金特別会計の資金を用いて実施される。最近では、2003年年初から04年3月半ばにかけ、日本政府・日銀は35兆778億円ものドル買い円売り介入を実施した例がある。当時、日本はデフレ脱却を強く意識していた。さらに円高が加わり、貿易収支が悪化することはぜひとも避けなければならなかった。また、円売り介入をすれば市場に流動性が供給されるので、その面からの景気浮揚効果も期待された。しかし、04年の3月16日以降、06年8月現在まで円売りドル買い介入は実施されていない。国内外からの介入に対する批判や、景気の底入れ感が強まってきたことが理由と思われる。 (吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by