無名抗告訴訟(読み)むめいこうこくそしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無名抗告訴訟」の意味・わかりやすい解説

無名抗告訴訟
むめいこうこくそしょう

行政事件訴訟法が定めている4種の法定抗告訴訟以外の抗告訴訟同法は,抗告訴訟種類をこれらの4種の法定抗告訴訟に限定するものではなく,これら以外の無名の抗告訴訟が成立することを認めており,どのような種類の無名抗告訴訟が認められるかは学説判例の発展にゆだねていると解されている。義務づけ訴訟や予防訴訟などがその例として考えられているが,権力分立原則などに関する問題もあり,どのような種類の訴訟が認められるべきかについては学説上見解が分れている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の無名抗告訴訟の言及

【確認訴訟】より

…確認訴訟の種類としては,行政事件訴訟法3条4項および5項が抗告訴訟の一形式として定めている〈無効等確認の訴え〉と〈不作為の違法確認の訴え〉がある。そのほか法定外の無名抗告訴訟として,私人の公法上の〈義務不存在確認の訴え〉や行政庁の〈処分権限不存在確認の訴え〉,あるいは行政庁の〈作為義務確認の訴え〉などが学説上考えられている。 まず,〈無効等確認の訴え〉とは,行政庁の処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無の確認を求める訴訟をさす。…

【行政訴訟】より

…抗告訴訟はさらに,処分の取消しの訴え,裁決の取消しの訴え,無効等確認の訴え,不作為の違法確認の訴えに分けて法定されている(3条)。これ以外に,行政庁に一定の作為もしくは不作為を義務づける訴訟のごとき,いわゆる無名抗告訴訟が許されるか否かは学説,判例上争いのあるところであるが,最近では,三権分立論の機械的な適用による無名抗告訴訟否認論よりも,一定の要件のもとでその許容性を肯定しようとする見解が有力である。(2)当事者訴訟 行政庁の公権力の行使の適否を争うのではなく,権利主体相互間の権利義務関係の存否を争う訴訟。…

【抗告訴訟】より

…そして抗告訴訟の種類としては,(1)処分の取消の訴え(行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為の取消を求める訴訟),(2)裁決の取消の訴え(審査請求,異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決,決定その他の行為の取消を求める訴訟),(3)無効等確認の訴え(処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無の確認を求める訴訟),(4)不作為の違法確認の訴え(行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内になんらかの処分または裁決をすべきにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟)の4種のものが法定されている(3条2~5項)。もっとも,抗告訴訟は,その法令上の定義からしても,上記の4種類の訴訟に限定されているわけではなく,行政法上の義務不存在確認訴訟,行政庁に対する作為もしくは不作為の義務づけ訴訟等のいわゆる無名抗告訴訟も理論的には考えうる。ただ,これらの無名抗告訴訟については,どのような種類,内容のものが許されると解するか,学説および判例の見解は一致していない。…

※「無名抗告訴訟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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