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抗告訴訟 こうこくそしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

抗告訴訟
こうこくそしょう

行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟 (行政事件訴訟法3条1項) 。行政事件訴訟法は,処分の取消しの訴え,裁決の取消しの訴え,無効等確認の訴えおよび不作為の違法確認の訴えの4つを規定し (これを法定抗告訴訟という) ,特に前2者 (これを取消し訴訟という) を基本的なものとした。抗告訴訟の種類がこれだけに限られるかどうかについては,具体的にどのような訴訟形態になるかは別として,なおこれ以外にも認められるとするのが一般である (これを無名抗告訴訟という) 。

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デジタル大辞泉の解説

こうこく‐そしょう〔カウコク‐〕【抗告訴訟】

行政庁公権力の行使に関する不服を扱う訴訟行政事件訴訟の典型的なもので、行政庁の処分または裁決の取り消しの訴えなど。

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百科事典マイペディアの解説

抗告訴訟【こうこくそしょう】

行政事件訴訟法にいう行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟。訴訟形態としては行政庁の処分の取消しの訴え,行政庁の裁決の取消しの訴え,無効等確認の訴え,不作為の違法確認の訴え,義務付けの訴え,差止めの訴え,仮の義務付けの訴え,仮の差止めの訴えがある。
→関連項目当事者訴訟

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世界大百科事典 第2版の解説

こうこくそしょう【抗告訴訟】

行政事件訴訟法の定める行政訴訟の一類型。抗告訴訟の概念はもともと行政裁判制度との密接な関連のもとに学問上の用語として形成されてきたものである。古くは,近代的な行政裁判制度が創設される以前のドイツでは下級官庁の処分・決定に対する上級官庁への不服の申立てが抗告と呼ばれ,行政裁判制度の創設後,下級行政庁の処分の効力を争う訴訟が抗告訴訟Anfechtungsklageと呼ばれるようになった。戦前の日本の行政裁判制度の下でも,行政処分の効力を争う訴訟,とくに行政処分の取消を求める訴訟が学問上,抗告訴訟と呼ばれていた。

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大辞林 第三版の解説

こうこくそしょう【抗告訴訟】

行政事件訴訟の一。行政庁の公権力の行使または不行使から生じた違法状態を除去することを目的としてなされる不服申し立ての訴訟。行政事件訴訟の中核をなす訴訟で、請求の内容により処分の取り消しの訴え、裁決の取り消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差し止めの訴えなどに分類される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

抗告訴訟
こうこくそしょう

行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう(行政事件訴訟法3条)。伝統的に、行政の活動には公権力活動と非権力的活動の2種類があると考えられてきた。後者においては、行政も私人と同じ立場にたつので、それをめぐる紛争は民事訴訟により裁かれる。前者においては、行政が法律の適用により国民に対して優越的立場にたって一方的に決定することが認められているので、国民がこれに不服をもつ場合も、民事訴訟とは異なる特別の救済制度が用意された。抗告訴訟の名称も、行政の公権力の行使に対する争いは、第一審の決定に対してあたかも上級審に抗告するものに似ているとの見方に由来する。このような見方は、行政と国民が法の前には対等であるとの今日の発想からみれば時代錯誤に近いが、こうした法体系の根本的見直しはなかなか行われない。民事訴訟では権利義務の有無が争点になるが、抗告訴訟の争点は、行政が法令に従っているかどうかである。
 抗告訴訟には、行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為を取り消し、原状に復帰させ、またやり直しをさせる処分の取消訴訟と、審査請求、異議申立て、その他の不服申立てに対してした行政庁の裁決について同様に取り消す裁決の取消訴訟がある。これらを提起するには原則として6か月の出訴期間を守らなければならない。この期間を徒過した場合、例外的には処分等無効等確認の訴えまたはいわゆる争点訴訟(処分が無効であることを前提とする権利義務関係に関する給付訴訟、確認訴訟等)を提起することが許される。行政庁が許認可の申請や生活保護の申請等、法令に基づく申請に対し相当の期間内になんらかの処分または裁決をすべきであるにもかかわらずこれをしないときは不作為の違法確認の訴えが許されるが、原告が勝訴しても、許可等がなされるとは限らず、不許可処分がなされることがあるので、きわめて中途半端な訴えである。そこで、許可せよといった、行政庁に特定の権限行使を義務づける義務づけ訴訟が必要である。これについては、従来明文の規定がなく疑義があったが、2004年(平成16)の行政訴訟法改正(2005年4月1日施行)により明文の根拠がおかれた。また、行政庁の違法な権限発動をあらかじめ阻止する差止訴訟についても従来争いがあったが、同様に明文の規定が置かれた。いずれについても、若干活用例が出ている。[阿部泰隆]

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世界大百科事典内の抗告訴訟の言及

【行政訴訟】より

…これに加えて,現行の行政訴訟制度の下では,国民の権利保護を目的とする主観訴訟を中心にして行政訴訟が構成されている。したがって,次に述べる各種の行政訴訟のうち中核を占める抗告訴訟については原告適格の要件が定められるとともに(9,36,37条),客観的な法秩序の維持を目的とするところの客観訴訟たる機関訴訟および民衆訴訟はあくまでも例外的なものとされている(42条)。
[行政事件訴訟の種類]
 行政事件訴訟法は,行政訴訟の種類として,次の四つの訴訟を定めている。…

【当事者訴訟】より

…この語は多義的であるが,広義では,対立する当事者を対等の立場で訴訟手続に関与させ,その請求・申立てについて裁判所が審判を下す訴訟をさす。しかし,行政訴訟の分野では,当事者訴訟は抗告訴訟に対立する観念として用いられ,一定の訴訟類型をさしている。すなわち,抗告訴訟とは,〈公権力の行使に関する不服の訴訟〉(行政事件訴訟法3条1項)とされるのに対し,当事者訴訟は,〈当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものおよび公法上の法律関係に関する訴訟〉(4条)とされる。…

※「抗告訴訟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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