熊野・湯谷(読み)ゆや

精選版 日本国語大辞典 「熊野・湯谷」の意味・読み・例文・類語

ゆや【熊野・湯谷】

[一] 謡曲。三番目物。各流。作者未詳。「平家物語」による。平宗盛の寵愛をうけている熊野(ゆや)は、故郷遠江(とおとうみ)の母が病気なので暇を請うが許されず、かえって清水への花見の供をいいつけられる。酒宴が始まっても心の浮かぬ熊野は舞を舞うが、にわかに雨が降ってきて花を散らすのを見て、「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」と和歌をよむ。これを聞いた宗盛は熊野の心を哀れに思い暇を与える。
[二] 山田流箏曲。流祖山田検校の四代表曲(四つ物)の一つで、(一)の後半を圧縮した内容。能の気分を生かした語り物風。
[三] 河東節。山彦河丈作曲。嘉永二年(一八四九初演。(二)を元にした作曲。安政四年(一八五七)、「文の段」を増補し、「宗盛花見の段」と改名
[四] 長唄。三世杵屋六四郎(後名二世稀音家浄観)作曲。明治二七年(一八九四)作曲。(一)の宗盛の名乗りから始まる脚色。研精会派の専有曲。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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