熊野新宮経塚(読み)くまのしんぐうきょうづか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「熊野新宮経塚」の意味・わかりやすい解説

熊野新宮経塚
くまのしんぐうきょうづか

和歌山県新宮市熊野速玉(はやたま)大社の境内地、権現(ごんげん)山に存在する経塚群。1956、57年(昭和31、32)に調査された。神倉(かみくら)山、庵主(あんず)池、如法堂(にょほうどう)の3経塚よりなり、平安時代から鎌倉時代にかけて造営された。平安時代の遺構は明瞭(めいりょう)でないが、鎌倉時代のそれは内部主体と埋納物との関係が把握された。「建治(けんじ)」(1275~78)、「弘安(こうあん)」(1278~88)銘の銅製経筒のほか、経石納入陶製経筒、礫石経(れきせききょう)も検出されている。なお、付近より修験道入峯(しゅげんどうにゅうぶ)儀式かと考えられる仏像の埋納遺跡が発見されたことは珍しい。本経塚群は、熊野信仰との関係において注目されている。

[坂詰秀一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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