燃えつき症候群

六訂版 家庭医学大全科 「燃えつき症候群」の解説

燃えつき症候群
(こころの病気)

 バーンアウト症候群ともいわれます。1980年代初め、アメリカの医師フロイデンベルガーが提唱した病態で、モラール勤労意欲)の高い理想家肌の人が、ホスピスや障害児(者)の施設で働いているうちに、無力感を感じ、慢性疲労を訴え、やる気をなくし、心身の不調を訴えることに対して用いられました。つまり最初は、職場における一種の職業病という観点でみられていました。

 その後の研究で、このような病態は看守、教師、医師、看護師、長距離トラックの運転手など、多くの職種においてみられることがわかってきました。こうした人たちはうつ病類似の症状(無気力()疲労感、いらいら、不眠など)を訴えるため、抗うつ薬の投与などが試みられてきましたが、あまり効果がないことがわかりました。

 かといって休養すれば回復するものでもなく、いまだ治療法は十分確立しているとはいえません。心身の自然な活力の復活を目指した認知行動療法や、精神療法を含めた人間学的な接近が必要とされています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

百科事典マイペディア 「燃えつき症候群」の意味・わかりやすい解説

燃えつき症候群【もえつきしょうこうぐん】

バーンアウト・シンドロームburnout syndromeの訳語燃料が燃えつきたかのように,それまで目標を掲げて仕事などに生きがいを感じて熱中してきた人間が,なんらかの理由で意欲を失い,スランプに陥る状態に対して,米国の精神分析医H.フロイデンバーガーが1980年に命名したもの。背景には,自分が目的とすること以外に関心がもてず,ストレスを解消する手段をもたないまま成功を求めた結果の,ストレス過剰状態があるとされる。昇進を果たした,大きな仕事を成功させたなど目的を達成した直後から起こることが特徴で,抑鬱(よくうつ)感,無気力,頭痛やめまいなどの心身症状が現れる。近年,大学受験生が合格した直後に同様の状態に陥る傾向が見られ,問題になっている。
→関連項目出社拒否症

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